和歌山県の丸編み製造、大営メリヤスは今秋、オリジナルブランド「キット」をスタートした。暮らしの道具のように日常的に着てもらえるシンプルで風合いの良いカットソーアイテムを開発。定番4型に絞り込みシーズンレスで販売する。卸先は長く付き合える個店を想定する。
大営メリヤスは、50年以上にわたり高級メゾンに編み地を提供している。坂本浩規社長は「本業がダメになって自社オリジナルブランド開発に着手する工場もあるが、当社は堅調な今こそ新しいことに挑んだ。ブランドを通じて自社工場の技術も伝えていきたい」と強調する。
ブランドを立ち上げるきっかけは、以前カットソー製品ブランドを手掛けていた有田安弘氏との出会い。ディレクターに起用し、企画から営業までを任せている。商品は大営メリヤスの特殊な編み機で編み立てた綿100%のオリジナル裏毛で、ふわふわの手触りでありながら、キックバックと強度が高いのが特徴。縫製は青森の工場に依頼し、フラットシーマーで仕上げる。
アイテムはプルオーバーのクルーネックとフード付き、ジップアップのパーカ、パンツの4型。今どきのオーバーサイズではなく、オーセンティックなシルエットで、S~ⅩLのユニセックス対応。基本的には絞り込んだ定番を縦積みするが、夏用にTシャツなどは企画する予定。
滑り出しは順調で、有田ディレクターが事前に営業していた卸先8店からの発注で初回生産1000枚を予定。追加生産にも対応する。今秋に出展した東京の合同展では商品の魅力をしっかり伝えてくれる個店をはじめ、リゾートホテルや家具店、自転車店などライフスタイル提案を得意とする異業種からも好評だった。
有田氏のネットワークからロンドンのライフスタイルショップへの卸販売もスタートする。