レディスブランド「ディウカ」(田中崇順)は23年春夏、これまでのコレクションには見られなかった蛍光色や柄を取り入れた。得意の立体裁断を生かし、力強い生命力を感じさせる服が揃った。
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この間、コロナ禍の閉塞(へいそく)感を打開し、原点に立ち返って着飾ることの楽しさを表現しようと試みてきた。今回のクリエイションのきっかけになったのは田中の学生時代の体験。あるとき、普段使わない色で絵を描き、自身の「枠を超えたような」感覚を覚え、発見を得た。それは服作りにも通じると考えた。
23年春夏物で象徴するのは、蛍光イエローに銀の箔(はく)をのせたリネンシャンブレーのドレス(税込み9万7900円)だ。陶芸家の菊池亨と協力し、銀の箔の部分は菊池が陶器に銀彩で描いた柄を採用。ドローイングは蛍光塗料を使って田中がした。
カットジャカードで仕立てたトップ(税込み4万1800円)とスカート(5万3900円)は、糸のグリーンやオレンジが彩りを添える。生地は意匠に凝ったテキスタイルを得意とする桐生の津久弘織物のものだ。
今後、コロナ禍で落ち込んでいた海外販売の復調へも期待する。今回は数シーズンぶりに田中とパタンナーの松本志行が渡仏し、パリで個展に出展。躍動感あるコレクションは、大胆なデザインが好まれる海外の顧客への意識が自然と反映された結果でもあるようだ。