〝食〟を軸にアート、ライフスタイル、カルチャーを発信するイベント「ドア・トゥ・ドア」の第1回が5月26日、東京・笹塚のカフェ、アトリエパーチで開かれた。モデルやグラフィックデザイナーといった、クリエイティブ系の職に就くメンバーが集まり、こだわりを込めた飲食メニューを提供。写真家の作品の展示や、陶芸作家の器の販売もあり、多くの客でにぎわった。
主催者の田部堅大さんは、都内のカフェギャラリーに勤めるバリスタだ。建築設計事務所に所属した後、仕事で作っている飲食店などで起きる人の交流や営みの方に魅力を感じるようになり、現在の職に転身した。ドア・トゥ・ドアを企画したのは、食を中心にライフスタイル全般やアートが絡み合う場所を作りたいと考えたからだという。
イベントを開くために声をかけたのはモデルやデザイナーといったクリエイティブな職種の知り合いたちで、それぞれが、食に興味を持ち料理にこだわりがあるメンバーだ。
当日は千葉県の若手農家から仕入れた野菜を使った混ぜそばや、グルテンフリーのキッシュ、ケーキなどを販売し、席が全て埋まるほどの盛況となった。
会場に飾るアート作品は、写真家のあべあさみさんが担当。食を軸にしたイベントらしく、モデル、声優、アイドルを被写体に、町中華での食事を楽しむ様子を写すシリーズ「町中華と女の子」を展示した。
作品は同イベントのための撮りおろし。「仕事で知り合った子を中心に撮っているシリーズ。身構えずに町中華を食べる女の子の何げない表情が魅力」と話すあべさんが、会場近辺を散策しながら撮影した。
会場奥の物販スペースには、ライフスタイル雑貨やアートのECサイト「IBE」がキュレーションした、新進陶芸作家による器が並んだ。「器は料理を彩る、食には欠かせないもの。トータルで見せたかった」(田部さん)という考えからだ。
田部さんは今後について、「やってみると人員配置などの課題が見えてきた。次を急がず、改善策を練ってから2回目へつなげる。より幅広いカルチャーが共存する場に育てていければ」と語った。将来的には自ら運営するカフェを持って、イベントの会場にすることが目標だという。