「なぜ」を解明するマーケ 今のエモーショナルトレンドは?(女性潮流研究所所長・廣瀬知砂子)

2023/10/24 13:00 更新有料会員限定


トレンドに浮上した〝クワイエットラグジュアリー〟 Ⓒ柏屋コッコ

 アパレル特有のトレンドワードってありますよね。例えば、最近よく耳にする〝クワイエット・ラグジュアリー〟や〝ゴープコア〟。前者はビッグロゴや華やかな装飾のゴージャスさではなくシンプル、上質、機能性、サステイナビリティー(持続可能生)がキーワード。代表的なブランドに「ザ・ロウ」「ボッテガ・ヴェネタ」「ジル・サンダー」「プラダ」「ケイト」「ロロ・ピアーナ」「トーテム」「ブルネロ・クチネリ」など。ゴープコアはコンバットブーツ、ウィンドブレーカー、カーゴパンツ、バゲットハットなどアウトドアのムードを日常着に取り入れるスタイルのことです。女性潮流研究所では、このようなトレンドワードとは別に、見えないエモーショナルトレンド(感情の潮流)も観測しています。

エモーショナルトレンド

 では、今のエモーショナルトレンドは何でしょう? ズバリ、「盛り・盛る」現象です。メディアをみると、「盛れるだけ盛りたいリンクコーデ」(『ヴィヴィ』10月号)、「実は盛れる」(『アンドガール』2023秋号)、「コミュ力UPの盛りファッション」(『ストーリィ』10月号)、「今年の〝盛り方〟見本帳」(『ヴェリィネイビー』10月号)、「他撮りでも盛れる私になる方法アレコレ」(『姉アゲハ』10月号)など、セレブママ系・働く女子系・キャバ嬢系まであらゆるターゲットで使われます。他にも、「チャレンジ名品」(『ストーリィ』10月号)、「インパクトアイテム」(『スプリング』10月号)、「ひとクセ」(『ヴェリィネイビー』10月号、『ギンザ』2023Fall)のような直接的ではないイマドキの盛りワードも続々と登場。秋の展示会では〝キラキラ〟〝もこもこ〟の「ラメ」&「ファー」も話題になっていましたが、これらもまさに「盛り」の重要な要素ですね。

「盛り」の進化と解釈

 ファッションのプロの皆さまにぜひとも知ってほしいのは、今の盛りは昔の「盛り」とは違うという点です。ここで、「盛り」の歴史と変遷を振り返ってみましょう。

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