「なぜMD・販売・ECの連動が必要なのか」、そして「その連動によってどのような効果が生まれるのか」について、販売・MD・ECそれぞれの分野で活躍するスペシャリストが実例を交えながらざっくばらんにお話ししていきます。
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本部はもっと店に行くべき!
それが売場と本部連携の第一歩

お二人の話を聞いていて、売場もアップデートしていかなきゃいけないなって思いました。売り上げのために接客や顧客作りをするのも大切なんですか、これからは、ECでお買い物する人からは受け取ることができない情報を社内へ伝えることも仕事になりますよね。
例えば用途とか、購入の決め手、反対に購入しなかった理由とか。

確かに、そういうのはECでは見えてこない情報ですね。

お客さまのこの一番よくわかっているのは、やっぱり販売とかECの人たちなので、そこから情報をどう吸い上げて、共有して循環していく必要があるんですよ。そこがあまりにも上手くいっていない。支援していても、その歩み寄りがあまりにもない気がするよね。

それって、どうすればいいと思いますか。

話はちょっとそれるかもしれないけど、学生が販売をやりたがらない理由にもつながるんじゃないかと思う。それは、本部職は圧倒的に“楽”なんじゃないかということ。
本部はデスクワークで、売場は立ち仕事。いつも楽しい接客ばかりならいいけど、時にはクレームを全面に受け止めることもあるじゃないですか。僕も販売時代にワンオペをいっぱい経験したけど、いまでもそういう店ってありますよね。
一方で、本部を見ると仕事のための仕事を生み出しているようにしか見えない時があるんですよ。売場のためになってるのであればいいけど、あまり意味のない細かい数値データばっかり分析しても仕方ない。それなら、売場がどう動いているのか見に行くべき!
あ!でも、前にも言ったけど、自分から根掘り葉掘り販売員に聞くのはNGね。

ECの現場でやれる売り上げ対策なんて、前にも言ったように、新商品がアップされる時にいかにお客さまを購入見込み客までに持っていけるかどうか。あと、そういうお客さまをどうやって店頭へ送客するかしかないんですよ。
だから、ECにたずさわっている人もお店に行って接客を受けて買い物をした方がいいんです。

一番初めに平山さんが言っていたように、企業は顧客を作るためにあって、会社全体で動いていくというのであれば、自分たちのブランドは、どういうお客様に対して売りたくて、そのためには店頭とECでどういう情報を吸い上げてほしいのか、ちゃんと決めておかないと意味がない。
そうやって集められた情報をもとにMDを組み立てていくことで循環が生まれるってことですね。

そうなるといいですね!っていうか、そうしていかないダメですよね。次回はECとポップアップについて語ります。
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■登場人物

MDコース講師:佐藤正臣
「数学は嫌いでも、算数はできるはず」でお馴染みのマサ佐藤。大手セレクトショップでMDを務め、現在はリテールMDアドバイザーとしてアパレルからライフスタイルブランド・スーパーマーケットなど、幅広い分野のマーチャンダイジング改善に従事。

販売コース講師:平山枝美
接客研修から顧客戦略の立案・推進、それに伴う接客方法・陳列・POP作成・マネジメントまで指導する販売コンサルタント。著書『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』は現在13刷達成!繊研plusで「間違いだらけの売場支援」を連載。

ECコース講師:深地雅也
ファッション・アパレルに特化したEC運用の支援に従事。得意とするのはGA4・BigQueryなどを活用したWEB解析の分野。年間計画立案からPL管理、CRM分析までECの販売計画に関わる領域を幅広くサポート。これまで80ブランド以上の運用に携わる。
■Fashion Re:ducation
ファッション業界の教育事業「Fashion Re:ducation」。販売・MD・ECそれぞれの分野で活躍するスペシャリストが講師を担当。キャリアアップを目指す方、異なる専門領域を学びたい方、今のやり方に迷いを感じている方に向けて、現場ですぐに活かせる実践的な技術と知識を学べる講座を提供しています。
