「フェンディ」の新たな本拠地「イタリア文明宮」が22日にオープンした=写真。イタリア文明宮はローマ郊外エウル地区に位置する、1930年代後半に建てられた記念碑的建造物。アーチが特徴の四面のファサードは28体の彫像で飾られ、それぞれ、職人技、労働、哲学、発明、建築、絵画といったイタリアが誇る分野を表している。
「フェンディ」は13年、同建物を所有するエウル社と15年の賃貸契約を結び、建築家マルコ・コスタンツィのプロジェクトにより改修に着手した。フェンディは近年、ローマのトレビの泉、クワトロ・フォンターネの修復を手掛けてきたが、このプロジェクトで、ローマの歴史遺産を重んじ支援していく姿勢を再び示した。
館内には本社機能のほか、2 階部分に1000平方㍍の展示スペースを備え、イタリアの創造性、クラフツマンシップをテーマとするアート展を企画し一般公開する。オープニングを飾ったのは「ウナ・ヌオーヴァ・ローマ、エウル地区とイタリア文明宮」展。カール・ラガーフェルドやファブリツィオ・フェーリら巨匠による「イタリア文明宮」と、エウル地区を被写体とした写真展、ロベルト・ロッセリーニやフェデリコ・フェリーニらの映画の上映(抜粋)などが展示の中核だ。
フェンディのピエトロ・ベッカーリ社長兼CEO(最高経営責任者)は、「私たちのルーツであるローマの街、そしてフェンディが大切にしてきた伝統と現代性。それらの絶え間ない対話のシンボルであるイタリア文明宮をよみがえらせ、全世界の方々に見てもらえることを誇りに思う」と語った。(高橋恵通信員)