米国スポーツシューズ市場 「ホカ」と「オン」が人気

2024/05/07 17:00 更新


 【サンフランシスコ=立野啓子通信員】米スポーツシューズ市場で、今最もホットなスニーカーが、「ホカ」と、スイス・チューリッヒ発の「オン」だ。いずれもランニングシューズから始まり、新技術でクッション性を高め、軽くて快適で、ランナー用に加え、日常のライフスタイル靴として使われている。伸びている背景には、コロナ禍の都市封鎖で、家で過ごすことが増えたライフスタイルの変化がある。3月にはバイデン大統領が、ネイビーのスーツに、安定感のあるホカの靴を履いた姿が、『ワシントンポスト』などに掲載されると、SNSでは若者だけでなくバランス感覚が衰えた高齢者にも使える靴として取り上げた。

 ホカは、09年、サロモンで働いていた2人の靴のベテランによって始まった。ランナーの下り坂の安定感に焦点を当て、オーバーサイズのアウトソールを採用したところランナーは、よりスピードが出せ、ハイカーには快適というもの。13年度、オーストラリア発のブーツ「アグ」を持つデッカーズブランド(カリフォルニア州)が買収。コロナ禍の時期は2ケタ台の勢いで上昇して、大きなけん引力となると同時に、業界でも収益力の高いブランドとなっている。

 一方、オンは10年、3人のアスリートによってスポーツグッズのメーカーとして始まり、12年のオリンピックで、トライアスロンのゴールドメダリストの靴を作るなど、プロのランニンググループによる開発が進められた。雲の上を走るという意味の「クラウドテック」による快適なクッションシステム、軽量で独特な穴の空いた靴底を持つ。21年の株式上場で、資金を得て、その後急成長している。26年度売上高は現在の2倍となる計画がある。競争の激しい市場で、他と異なるイノベーションが視覚的に見られるのが特色。流通は、DtoC(メーカー直販)、ランニング専門店に加え、ノードストロームなどラグジュアリー百貨店にも売り場を持つ。



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