16年春夏東京コレクション
「ジュン・アシダ」（芦田淳）はビビッドな赤と青、そこに黒を加えながらグラフィカルに切り替えたタウンドレスのシリーズでスタートした。きっぱりとしたラインが、これまでとは違うクールな強さをメッセージしているようで、ぐっと身を乗り出すような鮮烈なイメージだ。
黒はエンパイアドレスのウエストに交差させたリボンベルトや白と黒で描くプリーツプリントにも使われる。そのバランスは若々しく、続くフリルやラッフルをアシンメトリーに流したフィット・アンド・フレアのドレスは、どこかガーリーな雰囲気さえ感じさせるほど。ネービーのパンツスーツのジャケットはブレザーのようなダブル前で、肩は大きくウエストはきゅっと細く、このブランドらしいエレガントなマスキュリンフェミニン。ブラックドレスやイブニングドレスは、ホールターネックのベアバックやスリップドレスで、フューチャリスティックな光沢がのる。
新しい一歩を感じさせるコレクション。上質なブランドが持つゆるぎない姿勢でそれを踏み出した。今回のショーはダンサーのＴＡＫＡＨＩＲＯさんのダンスパフォーマンスとともに見せた。ダンスは、まとった布を脱ぎ捨てて終わる。
「トクコ・プルミエ・ヴォル」（前田徳子）の今回テーマは、中米のパナマ。軽快なラテン音楽が流れる中、真っ赤なマキシスカートのルックで始まり、得意のＡラインチュニックにＡラインスカートを合わせるスタイルを軸に、さまざまな色柄のレイヤースタイルを見せていく。
パンツやスカートにチュールを重ねてているので、重たくならない。トロピカルな植物模様は黒い生地にプリントすることで鮮やかさが際立ち、さまざまな女性の顔を描いたプリントのワンピースは植物を飾ったハットとの組み合わせが楽しい。後半は民族衣装をイメージした真っ白なスタイリング。サークルレースやフリル、星柄の装飾を用いた。
（赤間りか、佐々木遥）
