東京・羽根木に邸宅のようなショップをオープンした森下公則さん
《小笠原拓郎の聞かせて言わせて》
20年にわたって、国内外のコレクションを見続けてきた繊研新聞・編集委員の小笠原拓郎が、いま気になる人を直撃する企画です。
「08サーカス」をデザインする森下公則が、東京・世田谷の住宅地・羽根木にショップ「08ブック」をオープンした。緑に囲まれた静かな邸宅のような空間には、服とともに家具やアートピースが置かれ、その全てが売り物だ。オープン1カ月を経過した店には、米ポートランド発のライフスタイル誌『キンフォーク』のスタッフも訪れるなど、認知度を高めつつある。店のあり方と再開したライン「キミノリ・モリシタ」のコンセプトを聞いた。(小笠原拓郎編集委員)
小笠原 初の直営店ですが「なぜ、今、ここに」なんでしょうか。
森下 ここに引っ越してきたのが一番の理由です。「08サーカス」を立ち上げて7年、レディスをスタートして、直営店を出したい気持ちが芽生えたのがきっかけです。直営店を作ることを考えた時に、青山とか中目黒に通り一遍の店を作ってもつまらないって感じていました。何か自分たちならではの店ができないかと考えて、この場所を生かして作ってみようと思いました。
「ブランドをどう紹介していこうか」を考える時に、今は紙媒体も弱いし、直接、自分たちの美意識をお客さんに伝える方法がないかと思いました。自分たちの美意識で構成した空間を、来てもらって感じてもらえれば、08サーカスの物作りや空気感が直接、分かるんじゃないのかなって。服だけでも場所だけでも難しい。アートピースだったりビンテージの家具、花器だったり、自分たちの好きなものを置くことで伝えることができる。その第一歩がこの店です。
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