定番のジャーマンレザーを始めとする上質な天然素材やアンティークパーツへのこだわり、カッティングの美しさなどに定評のあるドイツ発メンズブランド”FRANK LEDER”が、初のオンリーショップをベルリンにオープンさせた。
トラディショナルなワークウェアとして、日本国内でもこだわり好きの男性にはたまらない”うんちく”が詰まったブランドとして、10年前よりセレクトショップを中心に全国で展開されている。
ベルリンのショップは、もともとスタジオとして使用していたスペースの一部をショップとして改装したもの。デザイナーであるフランク氏は今回のショップオープンに関して、こう語っている。
”スタジオは私の仕事場であり、私の全てが詰まっている場所でもあります。そこにショップを作ることで、多くの人とFRANK LEDERの世界をシェア出来ると考えて、オープンに至りました。ここにあるものは全て、ショップ用に揃えたインテリアではなく、私が長年に渡り集めてきた個人的なコレクションです。だから、自分の好きなものだけで構成されています”
“ショップであって、ミュージアムでもあると考えています。FRANK LEDERの原点となる私の仕事場とデザインにインスパイアされてきたものたちで出来上がったこの世界観をもっと多くの人に伝えたいし、単なる衣服としてではなく、ブランドのコンセプトの背景にあるものを知って欲しいと思っています”
ラックには、コッパーと呼ばれるとても美しい純銅が使用されており、エネルギーを伝えることが出来る素材なのだと言う。年月が経つに連れて、ショップに置かれたコレクションたちと共にどんな風合いに共存され、訪れる人にどんなエネルギーが宿っていくのか楽しみである。
フランク氏は、セントマーチンズ在籍中にFRANK LEDERをスタートさせ、2002年よりベルリンへと拠点を移した。ファッションの街ロンドンではなく、ベルリンへと移ったのは、ブランド背景にドイツの全てが詰め込まれているからだ。シーズンコレクションごとにドイツ各地を懐中電灯で照らし、そこにある歴史、映画、本、文化、働く人々などからインスピレーションを得て、デザインへと落とし込んでいる。
歴史を物語る写真集の様なFRANK LEDERのルックブックを見てもらえば、ジャーマンカルチャーの全てを知ることが出来ると言えるだろう。
これぞ、クラフトマンシップによるリアルクローズ！
ミリタリーテイストのブルゾンやアウター、オーガニック羊毛のハンドニットなど、店頭に並ぶこだわりのアイテムたちに触れながらそんなことを感じた。ファストファッションによる世界征服が浸透し続ける今、忘れかけてしまっていた”本物のファッション”に触れ、思い出す必要があるのではないだろうか。良い素材、良いデザインというのは、身体のラインに自然にフィットするものだ。
オンリーショップでは、３年前からスタートしたドイツの植物やハーブを用いた天然アロマオイルシリーズ「Tradition by FRANK LEDER」の限定品や、アーカイブコレクションの一部など、ここでしか手に入らない貴重なアイテムも取り扱っている。また、テーラーもスタートしたとあって、こだわり抜いたブランドによる世界で１着だけを手にすることが可能となった。
ベルリンに訪れた際には、是非とも多くの人にこの世界に触れて欲しい。
FRANK LEDER
Kant str. 139 VH 10623 Belrin
TEL:+49 (0)30 6956 7548
http://www.frank-leder.com
Photo:Hirohito Okayasu
宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。
