ドイツと言えばクリスマスマーケットの本場として知られているが、多種多様な街ベルリンでは一昨年から日本文化に特化したクリスマスマーケットが開催されるようになった。
その名も「JAPANESCHER WEIHNACHTSMARKT」は普段フェスなどで使用されている広々した”ARENA BERLIN”へと会場を移し、かなり気合いが入っていたようだった。
実際、会場内は外のフードエリアも併せて、出店数も来場者もかなりの数で迷ってしまうほどだった。
着物の羽織、駄菓子、おもちゃ、アニメーショングッズ、陶器、漫画、日本酒、ラーメン、おでん、たこ焼きなど、日本文化を代表するアイコニックなものたちが白テントの下にズラリと並んでおり、久々に見る”日本の祭り”に興奮しながら楽しませてもらった。
昨年同様にフードエリアは身動きが取れないほどの混雑ぶり。たこ焼きが2時間30分待ちにはさすがに驚いたけれど、コロッケ屋さんのスタッフをやっていた友人の話では、一息付く間もないほどだったという。
世界的に日本食ブームなのはもうここ何年もずっとそうである。ハンバーガーなどのアメリカンフードに押されていると思っていた最近だったが、まだまだ衰える様子はなさそうだ。
何がここまで惹き付けるのだろうか?日本人の得意とする繊細で優しい味?お祭りの雰囲気を味わいながら、フィンガーフード的に食べれる手軽な和食というシチュエーションも魅力的なのかもしれない。
コロッケとラーメンを食べたが、屋台であっても味のクオリティーが落ちないところが日本人クオリティーだなあと感心した。値段は少々高めに感じたけれど、それは日本人目線だからかもしれない。
フードだけに限らず、出店ブースはどこも大盛況。取材させてもらおうと友人のブースに顔を出しても来客が途切れず、ほとんど話が聞けなかったほどだ。
同じARENAの敷地内にある川沿いのオープンエリアではドイツクリスマスマーケットがやっていた。
ジャパニーズの方は入場料がかかるが、ドイツの方は無料。グリューワイン、スープ、クレープ、移動式スケートリンク、カーリングなど、こちらもけっこうな規模で開催されており、ウッドで造られたブースにツリーやライトアップなどさすがは本場といった美しさだった。
「ザ・祭り!」な日本側に対して、しっとりと上品なドイツ側。180度違う光景に思わず笑ってしまったが、圧倒的に人気だった日本会場を見ながら、お祭りの血が騒ぐのは世界共通なのだと実感した。また来年も是非開催して欲しい。
宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。