テープのディテール、装飾のボリューム
レディスのメインコレクションと同時も
【ロンドン=小笠原拓郎】17年春夏ロンドン・メンズコレクションで、メンズとレディスを一緒に見せるブランドが増えている。メンズの時期にレディスのプレコレクションを見せるというのはこれまでもあった。しかし、近頃話題となっている見せる時期と売る時期との関係の変化もあって、あえてメンズコレクションの時期にレディスのメインコレクションを見せる手法も増えている。メンズとレディスを同時に見ることで、そのブランドの男性像と女性像のあり方を感じることもできる。
JWアンダーソンは縦長のシルエットを軸にしながら、ボリュームと色柄をバリエーション豊富に組み合わせた。サテンのトレンチコートで始まったショーはロングシャツやチュニック、ロングニットへと続いていく。ほとんどのトップは膝丈くらいの長い着丈。そこにクロップトパンツかフレアパンツを合わせる。
縦長のトップの分量に合わせて、ダイナミックに柄を乗せていく。チェックにかぶせたオーバーストライプ、ベージュのリネンにスプレーペイント、ねっとりとした顔料に柔らかなグラデーションカラー、パズルとモアレに人の顔を組み合わせた柄はプリントまたはジャカードで描かれる。
長いトップに変化をつけるのはボリュームの強弱とレイヤード。ロングシャツの胸元にボザムを飾り、コートの上にブルゾンを重ね着する。ロングタンクトップは低めのウエスト位置でニット地を結んでノット飾りをつける。
コートは身頃につけたいくつものジップを開閉してボリュームを変えるといった具合。そのデザインの引き出しの多さに、満たされた気分になる。アクセサリーはゴーグルと王冠のようなヘッドピース。たくさんの装飾を重ねながらも、ジョナサン・アンダーソンらしい凛(りん)とした空気の中で表現した。
ハトメのような穴から布を垂らしたディテールでブレークしたクレイグ・グリーンは、完全にロンドンのトレンドセッターとなったようだ。若手を中心にボックスシルエットとワイドパンツにテープやストリングスを垂らしたようなディテールが広がっている。
当のグリーンはというと、ボリューム感やシルエットは継続しつつも、もうそこにはとどまっておらず、春夏はトップやパンツのサイドシームを割って小さなフックやハトメレースアップで開閉できるディテールが特徴となる。
ひもやフックの留め方次第で、パーツが途中で外れたような見え方になり、自分の好みにシルエットを作れる。そしてその外し方で、アイテムは解体され、中途半端にぶらりとパーツが垂れ下がる。もう一つのポイントは色。
40年前の木版でプリントしたキルティング地や、パネル状にスクエアにストライプをのせたスカーフのような布を重ねていく。レイヤードされた布の中にはコルセットのようなディテールも見られ、頭巾みたいなヘッドピースとともに、既存のメンズスタイルに新しいニュアンスを添えている。
シブリングは春夏からレディスコレクションをメンズの時期に見せることを決めた。ニットを得意とするブランドらしくクリーンな色をのせたニットアイテムを軸にして、レディスとメンズがシンクロするようなコレクション。来場者に届いたのは、ビーチリゾートからのポストカードの招待状。
ショーは屈強なモデルが着るビーチタオルとスイムスーツでスタートした。スイムスーツやカーディガンにはジャカードでジグザグ柄や木の葉柄が描かれる。スパンコールで光沢をのせ、クロシェで透け感を加える。
パステル調の優しい色とラメを組み合わせたビーチスタイルに同じ色目を使ったテニススタイルもある。優しいパステルカラーのスイムウェアは屈強な男性が着るとユーモラスに、女性が着るとキュートになる。
テニスセーターはメンズもレディスもミドリフ丈。コーディネートのアクセントとなるのはメッシュのコルセット。クリーンで可愛くて少しだけエキセントリックなシブリングの魅力がいっぱい。