国内外の子供服を扱うドゥドゥジュオン(名古屋市)は、ウールテキスタイル産地、尾州の生地を使った子供服ブランド「エムドゥドゥジュオン」で、セレモニー向けに加えシャツジャケットなど日常着を増やしている。社長兼企画・デザインを行う石原恭子さんは「ブランドも尾州の生地も、より浸透していってほしい」と話す。
同社は、ネットショップでの子供服販売が主力で、創業15周年を迎えた。エムドゥドゥジュオンのスタートは20年。「海外の子供服を扱ってきたが、地元でなにかできないかと思うようになった」ことと、コロナ禍で物流が滞り、海外の子供服が届かない不安定な状況がきっかけだった。
学生服メーカーの松永の協力を得て、尾州の機屋、生地を紹介してもらい、素材の良さを知り使用を決めた。チクチクせず、熱がこもりにくいウールは肌の弱い子供でも着ることができる。
立ち上げ当初に完成したのは女の子のワンピース2型で、山栄毛織のフォーマル生地を使用した。生地は伸縮性がありしわになりにくく、自然な光沢感が特徴。子供が着やすく、体形を選ばないシルエットに仕上げた。七五三や卒園、入学式などセレモニー向けの子供服をメインに自社ECや期間限定店で販売しており、クラシカルなデザインと上質な生地で支持を広げている。
23年入学向けは外部デザイナーを迎え、男女兼用のセットアップ、大人のレディスも新たに加えた。葛利毛織工業の生地を使用したセットアップは、トップがシャツジャケットタイプで、肩パッドを入れずラフに着用できる。選択肢が限られる男の子から特に人気だ。襟を外すとシンプルに着用できるワンピースなども既に販売している。今後はセレモニーだけでなく日常で着回せる服を増やす予定だ。
「エムドゥドゥジュオンのエムは、メモリーの頭文字から取った。家族にとって素敵な思い出になるように」と思いを込めた。「ウールはきちんと保管すれば長持ちする。弟、妹や、次の世代に受け継いでいってもらえたらうれしい」という。