「SHIBUYA109lab.トレンド予測2026」からは、今後の若者たちの消費ムードが見えてきています。その中心にあるキーワードが、「アテンション・デトックス」です。
【関連記事】《SHIBUYA109ラボ所長の#これ知ってないと気まずい》26年トレンド予測 「平成」はさらに若年化
他人から回避
アテンション・デトックスは、SNSの喧騒(けんそう)から一時的に完全に離れることで、他人からのアテンションを回避し、リフレッシュする行動を指します。この兆しは23年ごろから。SNSを中心とした膨大な情報量やコミュニケーションに対して疲れを感じる若者が観測されています。その傾向は年々強まり、ついに消費行動としても顕在化し始めました。
疲れの根底にあるのは、「人の感情を受け取ること」への負荷、そして「他者からどう思われるか」を常に意識せざるを得ない環境がもたらす精神的な疲労です。SNSには目まぐるしい速度で流れる膨大な情報、自分の投稿に対する反応、さらには過剰な注目を集める他者の投稿があふれています。近年はAI(人工知能)による真偽の判別が難しい動画や画像も増え、情報の信頼性そのものが揺らぐことも、疲れの一因になっています。
外気浴のような
トレンド予測のモノ・コト部門にも、その傾向が見られます。例えば、スマートフォンを置いて旅に出る「スマホなし旅行」や、少人数で画像やメッセージを共有して楽しむSNSアプリ「yope」は、不特定多数からのアテンションを意識しなくてよい環境をつくり出します。誰かに見られることを前提としない体験が、若者にとっての〝癒やし〟になりつつあります。

これまでも人気を集めてきた陶芸や編み物といったアクティビティーも、スマホを手放して一つの作業に没頭する「貴重な時間」として再評価されています。手を動かし、集中し、完成したものを自分のペースで味わう。そこには、SNS的な「他者の視線」から距離を置く時間が確かに存在します。
重要なのは、「デジタルデトックス」とは違い、若者がスマホを完全に断とうとしているわけではない、という点です。情報収集もコミュニケーションもスマホに依存する現代において、それを手放すことは現実的ではありません。むしろ「一時的に離れる」ことに意味があります。アテンションに満ちた世界に戻るための、外気浴のようなリフレッシュ行動として位置付けられているのです。
26年は、こうした「スマホから一時的に離れる」行動がさらに広がりそうです。アテンション・デトックスは、単なる流行ではなく、情報過多の時代を生きる若者が自分を守るために編み出した新しい生活の知恵ともいえます。彼らの選択は、私たち自身の生活を見直すきっかけにもなるのではないでしょうか。

