《改革の実像 総合アパレルのシーズンMD①》読めぬ季節、止まらぬコスト増 制約の中で探る最適解

2026/05/29 08:00 更新NEW!


街行く人の装いも軽やかな半袖が大半となった5月下旬の東京・渋谷

 昨今の気候変動を受け、総合アパレルメーカーのMD戦略が揺れている。シーズン頭に新作を一気に投入する従来型の見直しが進み、市場動向に応じた追加生産に比重が移っている。しかし、その実現には多くの課題をはらむ。

不確実要素多く

 気温の高い時期が長くなったことで春と秋の存在感が薄まり、1年は夏と冬に二極化しつつある。MDの前提にあった「春夏」「秋冬」という季節区分は形骸化し、需要は一段と予測しにくくなった。長引く物価高で消費者の目はよりシビアになり、必要に駆られて購入する〝実需買い〟の傾向も強まっている。収益改善を急ぐアパレル各社にとって、消費者が求める商品を最適なタイミングで投入し、プロパーでの消化率を高めることは共通の経営課題だ。

 打ち手は現在も試行錯誤が続くが、百貨店向けブランドでは期中追加を強化する動きが盛んだ。売れ筋を見極めてすばやく追加発注し、時機を逃さず売り場に届ける。合理的に見える戦略だが、商社をはじめとしたサプライチェーン側のマンパワーと地道な調整によって支えられている部分は大きい。

 例えば、素材調達。服地コンバーターや卸が在庫を縮小し、素材調達にかかるリードタイムは長期化している。生産でQRを望んでも、事前の仕込みがなければ難しい。計画性を欠いた場当たり的な追加発注では同じ素材の手配ができず、「似た素材を市場からかき集めて無理やり対応している」(商社)ケースが珍しくない。

葛藤しながら前へ

 歴史的な円安や原燃料価格の高騰、物流費の上昇も重くのしかかる。そもそも、一般的に小ロットでの発注は製造単価が上がり、利益を圧迫する。品質維持と原価率目標の板挟みになったアパレルと商社の現場からは、安易なコスト削減はブランドの毀損(きそん)や品質低下を招くと危ぶむ声が上がっている。

 この難局にどう立ち向かうのか。本連載では、総合アパレルと商社の取材から、百貨店ブランドにおけるMD改革の現状に迫る。ブランドの戦略を共有する深いパートナーシップ、サプライヤーの集約、最適なコスト・品質・納期を実現するバリューチェーンの構築、自社工場や直貿による内製化、付加価値を高めて価格を引き上げる取り組み――手探りが続くが、着実に前進している。

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