MDPオファー(東京)の「メゾンドパルス」は、21年に誕生したシルバー中心のジュエリーブランドだ。今年9月には仏パリの展示会に出展、京都の藤井大丸に1号店をオープンし、新しい一歩を踏み出している。
(中村維)
素材、加工から
ブランドの原点であるムーンリング(税込み2万1450~2万9700円)は、リング状の天然石にシルバーが絡みついたような不思議な造形だ。「石の硬度や水分量などを計算しながら、工場の方と編み出した独自の技法で作っている」とデザイナー兼MDPオファー社長のサコさん。
パールネックレス(3万7400円)の間につなぐ茶色のハート型シェルは、コーヒー染めをしたもの。アレルギーに配慮し、特殊な素材でコーティングしたシルバーネックレスもある。
こうした加工は、サコさん自身が研究論文や医療用で使われる素材などを調べ、実験しながら編み出したものが多い。ブランドのコンセプトはトライアンドエラー。新たな発想や物作りへのアプローチを経て、ジュエリーを生み出すことをモットーとする。
人から人に
デザイン面では「可愛い、身に着けたい、着けている人を見たいと思えるもの」を重視し、コーディネートに溶け込むことを心掛けている。ヒットアイテムの一つであるバルーンアートにヒントを得たリングやペンダントは、ぷっくりとした花や犬のモチーフが愛らしい。
立ち上げ当初はギャラリーでの展示販売会をメインに販売し、その後展示会ベースに切り替え、セレクトショップへの卸売りや期間限定店を始めた。ECも開設。1号店を開いた藤井大丸は「初めて期間限定店を出させてもらい、その後もとてもお世話になった店」だ。京都は学生時代から縁があり、「人とのつながりを感じられる場。ジュエリーも人から人につないでいくもの」と話す。
年明けには、東京の事務所をショールーム兼ギャラリー兼アトリエにリニューアルする計画があり、「できる挑戦はまだたくさんあると思う」としている。