《めてみみ》未来のテーラード

2019/01/25 06:24 更新


 19~20年秋冬欧州メンズ・コレクションは、新しいビッグトレンドを生み出すことなく終了した。前シーズン、ストリートからエレガンスへとトレンドが移ったが、秋冬もその流れの延長線上にある。

 「未来のテーラーリング」(ドリス・ヴァン・ノッテン)、「40年代のエレガントな男性のスタイルをイタリア流に再解釈」(ドルチェ&ガッバーナ)など、多くのデザイナーが今にふさわしいテーラードのあり方とエレガンスを模索している。

 面白いのは、新しいスタイルを生み出すのに、伝統的な手法や概念と未来に向かっての意識の両方を持っていることだろう。「伝統、技能、職人技は、未来へと目を向け進展することと等しく重要」とジル・サンダーのルーシー&ルーク・メイヤー。伝統的なノウハウと先進的で自由な精神の二重性を強調している。

 メンズコレクションにもかかわらず、ドレスを出したのはコムデギャルソン。前シーズン、スーツにザクザクとはさみを入れたのに続き、秋冬はテーラードの制約を破ってもう一歩先に進めた。男らしさと女らしさの境界は時代とともに変わり、今はその新しい立ち位置を探る時期にある。ロンドンの若手からパリの実力派までが新しい男性らしさや女性らしさを模索している。

 未来のテーラードにデザイナーたちは何を見つけたのだろうか。



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