新型コロナウイルスの水際対策を巡って、政府は6月1日から入国者数の上限を1日1万人から2万人へ引き上げる。各国・地域の感染状況や検査陽性率などリスクに応じて緩和し、約8割の入国者は検査や待機措置が免除される見通しだ。
観光業界は政府に対し、経済の本格的な回復にはインバウンド(訪日外国人)の復活が欠かせないとして、外国人観光客の受け入れを早期に再開するよう要望する。すでに外国人観光客の受け入れ再開に向け、5月から米国、豪州、タイ、シンガポールの4カ国に限定した少人数のパッケージツアーを実証実験している。
日本の水際対策の緩和は世界と大きくかけ離れ、半鎖国状態が続く。英国はワクチン未接種でも検査なしでの入国を認め、シンガポールは観光客の入国規制をほぼなくした。ワクチン接種などの条件をクリアすれば検査を不要にしたり、入国者数の制限を撤廃した国が増えている。
「日本に行きたい」と希望する外国人はコロナ禍前と変わらない。その筆頭だった中国は主要都市の都市封鎖で当面難しいが、都内の旅行代理店によると「再開に向けた問い合わせは韓国などから増えている」という。もっとも、訪日客が求めるモノ、サービスは従来の短期型・買い物志向から滞在型・体験志向へ様変わりする。その準備は欠かせない。