これまで年1回の期末配当のみだった三共生興やヤギが26年3月期から中間配当を実施し、株主に利益を還元する機会を増やす。
GSIクレオスは前期まで9期連続で増配を続け、10期連続を狙う。今期からの新中期経営計画では配当性向50%を継続しながら新たに1株当たり100円を下限とする累進配当を導入した。累進配当とは原則減配せず、配当を維持、増配する施策。株主への利益還元姿勢を明確に打ち出した。
日本企業は安定経営の視点などから内部留保を積み上げる傾向が強かった。東京証券取引所が23年、PBR(株価純資産倍率)が1倍以下の企業に、株価水準を引き上げる具体策の開示と実行を求め、風向きが変わった。
内部留保を増やすと純資産が増え、PBRの低下につながりかねず、稼ぐ力を生み出すために資本を効率良く使っているとも言い難い。PBRが1倍を切るとは、株価が1株当たりの純資産を下回る状態。それなら企業が解散して株主に資産を分配した方が金銭的価値が高いと判断され、市場から退場を求められかねない。
GSIクレオスのPBRはほぼ1倍。三共生興やヤギなどは1倍を大きく下回る。資産を増やすだけでなく、どう効率良く活用し、成長を実現しながら株主にも還元するか。上場企業が求められる経営力の水準は以前と比べて大きく高まっている。