外回り中にコンビニで昼ご飯を済まそうと、おにぎりを選ぶ時、数十円でも安い方に手を伸ばしてしまう。割高な気がするサンドイッチは、ほとんど買わなくなった。食品以外も同様で、少し前から気になっている古着も値下げを期待してECのカートに入れたままになっている。
紳士服専門店では価格訴求に力を入れている。青山商事の全世代向けシリーズ「みんなのスーツ」は25年11月の販売開始から3カ月で2万着を突破し、堅調な売り上げで推移している。税込み1万2980円という戦略的な価格設定で消費者の心を捉えることに成功し、新規客が増えたという。若い世代のスーツ離れはビジネススタイルの多様化だけでなく、単価上昇も要因との見方もある。
SC向けレディスカジュアル専門店チェーンや量販店向けカジュアルブランドでは、原料高騰に応じた値上げ戦略を見直し、平均単価は維持しつつ、戦略的なエントリープライスを拡充するところも増えてきた。
格差拡大が進む中、中間価格帯のファッションビジネスは、ますます厳しくなりそうだ。値下げや価格据え置きには限界があるが、苦境を打開できるような妙策もなかなか見つからない。商品力はもちろん、販売員の接客サービス、店舗環境など全ての面に磨きをかけ、顧客満足の向上を愚直に追求するしかないだろう。
