今年、創業40年目を迎える物流企業オーティーエス(OTS)。ファッション物流に特化する一方で、ジュエリーや皮革製品の修理からテキスタイルプリント加工まで、様々な取引先へのサポート事業を広げてきた。「オリジナル・トータル・システム」の頭文字をとったOTSの歩みは、顧客や従業員の〝喜び〟と社会への貢献を目指す道のりでもあった。
社内ベンチャーから
「いつか、運ぶだけでは終わらない会社をつくりたい」。そんな思いを胸に秘め、現名誉会長の田中洋は、北海道から九州まで全国に営業所を広げながら走り回る日々を過ごしていた。物流企業の大友運送(当時)でハンガー輸送を担う部長。取引先であるアパレルメーカーは増え続け、企業規模も急速に拡大するなか、アパレル製品のしわや形崩れを防ぎ、すぐに売り場に出せるハンガー輸送は重宝された。
新しいことにも積極的に取り組んだ。ドライバーといえば男性が中心だった運送業界で、アパレル・ファッションには「むくつけき(武骨な)者たちよりも女性」と多数を起用して配置し、「ファッション業界に喜ばれ、自分の顔も利く」ようになっていった。
まさに、日本のファッション業界の勃興期。その勢いを肌で感じつつ、単に服を運ぶだけでなく、保管から仕分け、値札付け、店頭に並ぶ状態までを整える――そんな「物流のアウトソーシング」が、やがて大きな時代の流れになるだろうと確信を深めていった。
大手アパレル企業との接点をさらに深めるなか、田中が構想した社内ベンチャーが具体化することになった。成長すると見立てた物流のアウトソーシング事業だ。「チャンスが来た」という高揚感とともに、準備に奔走した。しかし86年8月、開業を2カ月後に控えたところで、会社から事業計画の延期が告げられた。
