経済産業省は繊維製品の資源循環促進のための新たな制度や事業者支援策の検討を始める。産業構造審議会(経産相の諮問機関)の繊維産業小委員会を秋をめどに再開、故衣料品を回収・再利用する事業者の認定制度や環境配慮設計のガイドライン、リサイクル素材の定義と表示の標準化などを議論し、来年からの具体化を目指す。さらに、資源循環システムの構築を目指し、国、自治体、事業者、消費者が30年に向けてそれぞれ行うべき取り組みやリサイクルなどの数値目標を定める「繊維製品における資源循環ビジョン・ロードマップ」も初めて策定する方針だ。
今年1月に、環境省と共同で立ち上げた有識者会議「繊維製品における資源循環システム検討会」(座長=新宅純二郎東京大学大学院教授)での討議を踏まえた施策。9月21日に開いた第7回会議で示した最終報告書案の中で、資源循環のフェーズである「回収」「分別・再生」「製造(設計)」「販売」ごとに課題を整理し、今後の政策の方向性を示した。
小委員会は「早ければ、10月最終週に開始し、来年5月までをめどに5~6回を行い、報告書をまとめる予定」(田上博道製造産業局生活製品課長)。検討会で示した4フェーズの政策を議論する。
回収については、回収率を高め、「収益が厳しい」とされる回収した衣料品を引き受ける事業者を支援するため、「事業者などが故衣料品などを循環利用する計画を認定し、認定事業者に対して支援措置を行う」制度を検討する。分別・再生については引き続き、技術開発支援を強化する。
製造に関しては、リサイクルや温室効果ガスの排出抑制、省エネルギーの促進など環境に配慮した製品設計「環境配慮設計」のガイドラインを繊維評価技術協議会と連携し、今年度内に策定する方針。ガイドライン準拠製品に対する「新たな表示のあり方、製造事業者に対する支援措置も検討」する。販売では、現在は定まっていないリサイクル素材の要件などの定義と表示ルールを整備・標準化し、国際規格化も目指す。表示製品に対する「グリーン購入などの優遇制度も検討」する。アパレル企業などが回収した衣料品の情報開示をしやすくする「ルール作り」も議論する。さらに、「繊維製品の適量生産、製品の長寿命化についても、自主行動計画の策定など出口を検討していきたい」としている。