販売スタッフのためのマザーニーズ獲得講座
~今時のママたちに響く、リアルな商品・接客とは~
■1限目:「全体の傾向は?」
学校行事が集中するこの時期、マザーニーズにどう対応するかは店の売り上げを左右する大事なポイントです。 そこで今回は、ママ客の多い「イチエ・ストロベリーフィールズ」玉川高島屋店で、今のママさんたちの求めるポイントや、今年の売れ筋商品を聞きました。
ポイント.1 “その後も使える”は絶対に欠かせない
普段着と同様に、ママさんたちが必ず求めるのは着回し力。「入園式・卒園式などの1回しか着られない商品はもったいない、というお客様が圧倒的です。逆に、日々の送り迎えやカジュアルスタイルとして“その後も使えますよ”という具体例を紹介して、お客様がイメージを持てれば、決定率は大きく上がります」と、同店の大石礼子店長。「例えば、ジャケットを販売する際には、カジュアルなスカートの合わせ、ジーンズでのコーディネート、オフィススタイルなど、使用シーン別に数パターンのコーディネートを紹介するようにしています」。
ポイント.2 「子供が主役」から「私もお洒落したい」へ
ママさんたちのモチベーションも変化してきています。「これまでは『子供が主役なので、できるだけ目立たないように』というお客様が多かったのですが、最近は『ちょっとはお洒落したい』『人とかぶらない物がいい』という方がかなり増えてきました」。
また、「これまでは、セット物を求める方が多かったのですが、今年は好きなジャケットとスカートを組み合わせる方が多かったですね。そういえば、『スカートの丈は膝下じゃなきゃダメ』『色はネイビーじゃなきゃダメ』と言われることが今年は全くありませんでした」。
着こなしも、あまりカッチリとしすぎない傾向になっています。「例えば、ワンピースにはジャケットを羽織るのが一般的だったのですが、今年はワンピース一枚でさらっと着こなす方が増えています」。
また、「意外に求めている人が多かった」と話すのが、パンツスタイルのコーディネート。結婚式などでも当たり前になりつつあるオールインワンのトレンドに近く、雑誌でも特集されているそうです。同店でも学校行事用にパンツのセットアップを見るお客さんも少なくありませんでした。
こうした傾向は昨年から出ていたものの、「今年になって本格化した印象」だと言います。
ポイント.3 きちんと例年の傾向も説明しよう
徐々にお客様の意識や求めるものがカジュアルになっているからこそ、「まずは事前の意思疎通が大事です」と大石店長は話します。 「当日にお客様に恥ずかしい思いをして欲しくないので、いわゆる定番品だったり、これまでの傾向などをしっかりとご説明することを心がけています。また、学校によっては独自の決まり事があったりもしますので、その有無を確認。求めていらっしゃる物でも、問題なさそうかをお聞きして、納得頂いてからご購入頂くようにしています」。
■2限目「人気のある商品の特徴は?」
タレントのYOUさんがディレクションするフォーマルブランド「ピールスローリー」(パル)が、30,40代女性に人気です。喪服から入卒園、結婚式、ちょっとしたお呼ばれ服まで揃い、14年春夏のスタートから丸2年たつ今春、卸先が一気に広がります。デザイナーの圷伊作(あくつ・いさく)さんの話から、人気の理由を探りました。
1、どのシーンでも万能なプレーンブラック
ヒット商品は、昨年から出しているリバーシブルドレス。表と裏が、黒とベージュ、黒と柄物(ボーダーや抽象柄)などのバイカラ―仕様で、二通りで着られます。黒の方を選べば、喪服としても通用します。
ワンピース・ドレスはブランドの顔で、型数の9割を占めます。理由は、仕事・子育てと多忙を極めるYOUさんが普段から重宝しているから。「素早く着られて、1枚でおしゃれが完成する」というポリシーに基づくもの。ドレスベルト、パールネックレスなど、「じゃらっとつけるだけで豪華になる」大ぶりなアクセサリーも始めました。
■年間の販売スケジュール
- 1、2月=結婚式、入卒園
- 4、5月=結婚式
- 7、8月=葬式
- 9、10月=結婚式
- 11、12月=葬式、クリスマス
さらに一着一着のシルエットに、テレビ出演時は、衣装を自らスタイリングするというYOUさんのセンスが生かされています。「ウエストの切り替えをやや高めにする、袖を長めにとる、など服全体のバランスへの指示」をうまく取り入れ、今っぽく仕上げています。
2、価格は4万円以下、セールもなし
価格は2万8000円~3万8000円が中心で、高くても4万6000円まで。セットアップなら、「ジャケットとスカートで4万円まで」と決めています。素材は、黒がきれいに出る「トリアセテート」の無地やプリント、ジャカードが主。
黒が基調のため着用シーンが幅広く、いつどこで着るかは消費者次第です。ただ慎重な配慮が求められる、葬式でも問題なく着られるように、上質で深みのある黒い素材を使っています。シーズンがないため、セールはほとんどしません。 主なファン層は、「30代『VERY』『CLASSY』読者、40代『GLOW』読者、パンチの利いたファッションを好む『Numero』読者。ファッション業界のママたちにも人気」。特に、VERYの編集者からは「この値段とこのクオリティーはお得!」と太鼓判をもらったそうです。
3、難しいことはやらない!シンプルにわかりやすく!
店頭での「売りやすさ、わかりやすさ」にも配慮しています。ポイントはシンプル!
■ポイント3つ
- YOUさんがディレクションする冠婚葬祭ブランド
- フォーマルからウェディングまである
- モード過ぎない・誰でも着られる
「販売員にとって、お客様への説明が難しいブランドにはしたくなかった。YOUの冠婚葬祭ブランドといえば、男性店員でも売れるでしょ?」といいます。 ブランド立ち上げ時、GLOWやNumeroなど複数誌で特集しました。これには意図があり、「詳しいことは雑誌をご覧ください」と店頭で使ってほしかったから。
デザインも、反応が鈍かった商品は着易いようにアレンジします。例えば、ボレロやショールに代わる羽織の開発に力を入れていて、ドレスやスカートに併せるミニ丈のジャケットをセット販売しています。一時期、ライダース風のデザインを出しましたが、フォーマルとして着こなすのは難易度が高かったようで、売れませんでした。「モードである必要はない」と現在、修正版を企画中です。
(価格は本体)
■卸先・取扱い店舗
《百貨店・専門店》 日本橋高島屋、玉川高島屋、京都高島屋、西宮阪急、西武渋谷店、パークス富山、パークス魚津、新宿伊勢丹、新宿高島屋、梅田阪急
《パルの自社業態》 ラウンジドレス(青山、アトレ恵比寿、横浜ルミネ)、ドローイングナンバーズ(全店)、ガリャルダガランテ(全店)
■3限目「売り方で工夫できることは?」
Q.オケージョン商品の売り方は?
学校行事やセレモニーが集中する3,4月。ドレスやフォーマルウエアを探しているお客様が多い時期。どう売ったらいい?
A.当日のイメージを浮かばせたら勝ち!
2、3、5、6、10月はいずれもオケージョンニーズが高まる時期。中でも2、3月は謝恩会ニーズで、お母様と一緒に来店し、フルコーディネートを購入するお客様が多い時です。必ずフルコーディネートで提案し、客単価アップに繋げましょう。
続いて、ドレス販売に強い大阪・梅田のセレクトショップの実例をご紹介します。
★オケージョン販売3か条★
- 試着時は髪をまとめる
- ストッキングを常備
- ストールは1万円未満
《詳細》 ドレス販売に強いあるセレクトショップが必ずしているのは、試着時にお客様の髪をまとめることです。これで一気に当日の着用イメージを想像することが出来ます。あとは、ストッキングも常備して、タイツの方には必ず履き替えてもらうようにしているそうです。
その店はOL層も訪れるため、ドレスの価格は1万円台、2万円台ともに売れるとのこと。一方、ストールは1万円未満じゃないと動かないそうです。ドレスは同じものでも、ストールで雰囲気を変えたい人が多く、ストールは「安ければ安いほどいい」とのこと。 ボレロはいまやダサいのか、ほとんど売れなくなっています。バッグは、ご祝儀袋が入るサイズがポイント。1万円台でも売れるとのことです。
■4限目「売り場がお手伝いできることは?」
3、4月は入卒園、入・卒業式と学校行事が目白押し。この機会に服を新調しようと売り場巡りしているママたちも多いでしょう。今時ママたちは、
- 何を着ていいか戸惑う…昔なじみのコサージュやボレロはダサいし着たくない!
- 学校行事の一回きりでなく、通勤など普段にも着られないと!
- 総合的に納得のゆくデザイン・価格でないと!
といった希望・要望があります。そして、買い方、着こなし方は一段と多様化しています。
ケース1:決め過ぎないカジュアル派
マッシュスタイルラボの「ミラオーウェン」は、立ち上げ当初よりも上質、きれいめの商品を強化し、好調に推移しています。特に最近は雑誌『ヴェリィ』や『ストーリー』に掲載されたことでママ層からのブランド認知も上がり、春の入卒園ニーズなどでセットアップが売れました。結婚式などと同様に、数々の行事に同じ服装では行きづらいといった理由から、質の割に手頃なミラオーウェンが支持されているようです。16年夏物でも、オケージョンにも着回せるセットアップやコンビネゾンを充実します。
同様に、「ローリーズファーム」(アダストリア)のノーカラージャケットなども、学校行事用に上手に取り入れる消費者がいる、という話もあります。
ケース2:買いたい服が見つからず着物派
一方で、「何を着ていいか、どこで買っていいかわからない」というママさんたちもいます。大阪在住Aさんのママ友達の“会議”では、「コサージュを付けたくない」「それ以降着ないものは買いたくない」といった声が飛び交い、皆でうなずき合いました。そして一つの結論に達します。それは、「ならば、着物で!」というアイディアでした。理由は、フォーマル度は高いのに、誰もが(母親の物を含めて)持っていて、新たに買わなくていい―というものでした。みんなで着物なら安心です。
まとめ:的確なサポートが喜ばれる
今時のママたちは、従来のスタイルにとらわれない自由な発想とともに、着回しやコストパフォーマンスへの意識も強く持っています。ただ、商品選びで、わからないことも多くて、迷っているのも事実。こんな時、店頭のみなさんが、的確にサポートしてさしあげると、きっと喜んでいただけますよ。
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