アダストリア「エルーラ」 悩みに寄り添う接客が大人女性から支持

2022/12/12 06:30 更新


 「大人の悩みに効く」服を売りにするアダストリアの「エルーラ」は、3年前にデビューした40代を中心とする女性がターゲットのブランドだ。体形カバーや楽な手入れなど女性の悩みに応えた商品で支持される。最近ではパーソナル・スタイリングサービスや、パーソナルカラリスト検定の資格取得などで大人女性に寄り添った接客に磨きをかけている。

(関麻生衣)

期待以上のサービスを

 「お客様に安心してもらうためには、知識を付けることが大事」と話すのは、アルカキット錦糸町店の清水奈津子さんだ。昨年9月に始まった予約制のパーソナル・スタイリングサービスは、事前のアンケートを基に店頭でスタイリングや服選びのアドバイスを販売員から受けられるものだが、清水さんは「予約してくれたお客様に期待以上のサービスを提供したい」と話す。

 ここでいう知識は商品についてだけではない。例えば、骨格の特徴からどのようなシルエットの服が似合うのか、その客の肌の色になじみが良い色目は、髪形は…。そのような、その人自身やスタイリングをより魅力的に引き立たせるものだ。

接客では客をよく観察し「よく気付いたわね」と言われるようなポイントをほめるようにしている

 そうした知識の裏付けになるのが資格だ。清水さんの場合、カラーセラピストとパーソナルカラリスト検定2級、骨格診断アドバイザー3級、前職で美容関連の仕事に従事していたため美容師免許を保有。現在、骨格診断セラピストを取得するべく学びを深めている。

 アパレル接客にも役に立ちうる資格の取得は、エルーラ全体で支援している。もともと、ブランドの立ち上げには年代やキャリアを重ねた販売員が活躍できる場を作る目的もあった。自分の実力を試したい、勉強してスキルをより磨き高めたい…そのような「大人なりの熱」を価値にするのが狙いだ。

 色の効能や骨格の知識を根拠にしたロジカルな接客は、大人の悩みを服の機能や素材で解決するブランドならではだ。しかし、デジタル化が加速した今、高揚感やそこから生まれる感動、あるいは接客で得られる知識、発見といったネット上ではできない購買体験をいかに提供できるかが、実店舗の販売員に求められている。

 その点において、同ブランドの接客には学ぶものがある。おしゃれは人に自信を与える一方、例えば、体形に悩みがあれば心をふさいでしまうものでもある。「カラー診断でこの色が似合わないと言われたから着られないのではない。『この色を着たい』という気持ちに対し、例えば、小物の組み合わせやヘアメイクでどう似合わせるのか。服の知識以外にも色々な角度からアプローチでき」れば提案の幅が広がり、顧客の満足も高められる。

色の知識や美容師免許を生かした説得力のある接客を心がけている

日々の心のよりどころ

 エルーラの店に行けば、自分の骨格や肌の色を生かした服やスタイリングを教えてもらえる。自分の悩みや好みを知っている販売員がいるのは、日々のおしゃれを楽しむ上で心のよりどころになるだろう。販売員が自身の得意を強みに変え、個々に対応した接客ができれば、その販売員の存在や店の独自性になる。さらに、販売員にとって、客が自分に会いに来てくれるうれしさは、仕事のやりがいや向上心にもつながる。

 清水さんが同社に転職したのは、以前、アパレル接客を経験し、服を購入する目的がなくても「今日(清水さんが)いるかなと思って寄ってみました」などと話す客の言葉に自身の存在価値を感じられ、元気づけられたからだった。

 「私の強みは販売員っぽくない販売員」と清水さん。接客が好きな気持ちを原動力に、日頃から他店の接客を受け、心地よい接客を研究。言葉遣いや立ち居振る舞いに気を配り、客を観察し、良いところを見つけてほめるようにして、親しみが持てる接客を常に意識している。故郷の関西弁をあえて使うのも、客に心を開いてもらうための清水さんなりの工夫だ。

「ここに来れば解決」理想

清水奈津子さんの話

「ここに来れば何でも解決する」ような店が理想と、アルカキット錦糸町店の清水奈津子さん

 私がいつも意識しているのは、知識を土台にした説得力のある接客です。コロナ下で精神的にダメージを受けていたり、何か悩んでいたりするお客様に、私ができることは何かないかなと考えていました。そうしたなか、例えば、カラーセラピストの資格を生かし、色の効能で周りをケアできるかもしれないと思っています。

 以前は私を必要としてくださるお客様の存在に励まれていましたが、今は自分をというよりも、エルーラをもっと好きになってほしいと考えています。ブランドをより成長させるためには、私がいなくても来店して買ってくださる顧客をいかに増やせるかだと思っています。

 そのために、全員でプロフェッショナルな接客を目指していきたい。ここに来れば何でも解決する。ネットで調べるよりも、お店で販売員に聞こうと思ってもらえるのが理想です。

(繊研新聞本紙22年11月11日付)

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