キャンプブランド「M.W.M」(エムダブリューエム、大阪市)は新作のエアテント「レディテント・エアバン」の予約販売を6月28日から開始した。今後も椅子やテーブルなどファニチャー類の開発を計画している。
これまではオンラインでの販売が主体だったが、これからは各地で開催されるアウトドアイベントに出展したり、卸売先のアウトドアショップとの取り組みを強め、「より直接的にコアなファン層へ商品の魅力を伝えていきたい」(山田亮代表)としている。
同ブランドは19年秋から発売。M.W.Mは「モア・ワンダフル・モーメント」という意味。ブランドコンセプトの「キャンプ・ウィズ・ファミリー。今、一生残る思い出を」と共に、子供と一緒に家族で楽しめるキャンプを目指している。
山田代表はアパレルメーカーに勤めていたが、17年ごろからキャンプにはまり、仕事や子育てのストレスから解放されることから家族でのキャンプが増えていった。そうした中、キャンプの準備やテントの設営に時間が掛かり、実際に遊ぶ時間が削られることから「もっと簡単に設営できるキャンプ用品で、家族で楽しめる時間を増やすことができないか」と考えていた。
アパレルメーカーで物作りに関わってきた経験を生かし、テントの開発に着手。中国・アモイの工場と直接交渉し、空気を注入して立ち上げる方式のエアテントを開発した。
テントの設営は通常、複数人が必要だが、エアテントはエアフレームにポンプで空気を入れるだけで、大幅に設営時間を短縮できる。他社にもエア式テントはあるが、シンプルな構造にし、流線形のデザインにもこだわった。
初期型はインナーテントが吊り下げ形式だったが、現在の「レディテント2」は寝室が本体に組み込まれ、インナーテントのない構造になっている。レディテント2は22年夏に発売して、秋に一度完売。新作のレディテント・エアバンはレディテント2をさらに進化させ、シンプルな2本のエアフレーム構造にし、リビングスペースの拡張性も持たせた。
現状、販路は自社サイトやアマゾンといったECのほか、アウトドア専門店「フィールドセブン」、個店のアウトドアショップにも卸売りしている。扱い商品はテントが売上高の7割ほどを占め、その他ファニチャー類、寝袋、たき火台など。イベント限定でガス管カバーなども制作した。
売れ行きは22年までは好調だったが、やはり「キャンプブームの陰り」も感じてはいる。しかし、キャンプ人口は減っておらず、これまでのような希少ブランドを競って買うことは減るが、「これからは長く使える、自分に合ったものを求めるようになる」と見る。実際に物を確かめて買う人が増えるため、さらにリアル店としっかりと取り組んだ販売を進める考えだ。
今後も商品幅は無理して広げず、定番的な商品を改良しつつ、ファニチャー類のバリエーションを増やしていくことを検討している。また、これまでは関西で開催されるアウトドアイベントに出展してきたが、関西以外にも出展して、より多くの消費者に商品の魅力を直接伝えていく。
22年秋からは月ケ瀬キャンプ場(奈良市)でテントのレンタルを始めた。テントの貸し出しはキャンプ用品レンタルサービス「テンタル」でも行っている。今後はキャンプ場でのイベントなども検討している。