《私のビジネス日記帳》一富天地 燕泳静

2022/11/02 06:25 更新


 10年に自宅の一室でOEMを始めました。結婚もして「さあ頑張ろう」と思った矢先に妊娠。気付かれないように大きめの服を着ていました。女ひとりの会社で、納期などで不安視されては困ると思ったからです。出産の日も中国の工場に電話で納期の確認をしました。先方には驚かれましたが、逆に頑張って商品をあげてくれました。

 15年ごろから小売りよりもECのお客さんの方に勢いが出てきて、我々もシフト。同時に自社ブランドも始めました。親子コーデのブランドでしたが、値段が高く市場も思ったより小さくて失敗。今度は客層が広く、値段も買いやすい商品を作るように決めて出したのが18年デビューの「アビトーキョー」です。

 商品には自信がありましたが、知名度がなく簡単には売れません。色々研究して写真を変えました。韓国ECではモデルの着用写真の顔は全て切っていました。顔があると、そちらに目が行って洋服への関心が薄まるからです。これをまねると一気に反応が良くなり、ゾゾタウンに出て3カ月目に月商5000万円に。その後、2億~3億円にまで成長しました。

 その頃、中国のライブコマースが話題に。興味はあったものの、中国のようなプラットフォームは日本にありません。だったらと自分たちで作ることにしました。中国のエンジニアとオンラインでやり取りし、1年半かけて完成させました。1年前に開いた「1899モール」です。数字はみんなに幸せになってもらいたいという中国語の造語〝一富天地〟からつけました。

(Sホールディングス社長)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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