ファッションAIのニューロープ 投資型クラウドファンディングで資金調達

2023/04/19 10:59 更新


「人に依存する企画やコンセプト作りなどの分野と、AIが得意な分野がある。AIの力でアパレルが利益を生み出し、次の製品作りの原資にしてもらいたい」と話す酒井社長

 ファッションAI(人工知能)のニューロープ(東京、酒井聡社長)は、株式投資型のクラウドファンディング(CF)、イークラウド(東京)を通じて資金調達する。売り上げが積み上がり黒字化が目前という経営環境だが、先行投資分の余裕資金が必要と判断した。5月1日までに、個人投資家から1494万9000円を目標に集める(上限7969万5000円)。「ファッション特化AIでアパレル業界のデジタル化をさらに進めたい」と酒井社長。黒字化した後は大手の傘下に入り、さらなる事業拡大をにらむ。

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 同社は、独自開発の画像認識AIをコア技術としたアパレル関連企業向けのSaaS(インターネットを通じたソフトウェアの利用)を提供するスタートアップ。イオンモールやニッセン、著名ECモール、繊維商社など多数の顧客を持つ。22年12月期の売上高伸び率は67%で、黒字化が見えてきたという。今回の資金調達で収益化を着実なものにしたい考えだ。

 事業拡大の手段として将来的には会社売却(M&A=企業の合併・買収)によるイグジットを目指しているため、適正価格で売却するためには黒字化は欠かせない。出口としてはIPO(株式公開)も考えられるが、単独で上場しても事業拡大は限定的と判断した。「大きな会社と一緒になった方が(事業拡大には)得策」という。調達前の会社評価額は約8億5000万円。

 種類株式での株式投資型のCFは全産業でも初のケースという。国が後押しするエンジェル投資で、投資家は取得時及び売却時に税制上の優遇措置が受けられる。また「参加型1倍」の種類株式(優先株式)で募集するため、会社売却時に企業価値が減少していてもリターンが得やすい仕組みになっている。

 ミニマムである9万9000円(60株分)から、49万5000円(300株分)まで4コース用意。特別投資家向けに99万円(600株分)と198万円(1200株分)のコースもある。調達資金は、研究開発費用(トレンド予測)及び代理店に依存しないユーザー獲得の営業態勢の整備費用に充てる。目標額に達しない場合は不成立になり、投資家に返金される。

黒字化必達へ

 酒井聡社長の話 ファッションの世界には、クリエイションなど人にしか出来ない分野と、トレンド予測やマッチングなど比較的AIが得意な分野がある。製品を無駄なく流通させる支援でプロダクト提供先に利益をもたらし、新たなクリエイションを生み出す原資にしてもらうというのが我々のサービスだ。

 23年度のテーマは二つ。一つは、今のプロダクトを売り進めて着実に黒字化すること。もう一つは、昨年から取り組むシルバーエッグ・テクノロジーやイオンモールとの共同事業が収益化できそうなので、まいた種をしっかり刈り取っていくこと。また、我々は言語に依存しない画像認識の技術がベースだから、ファッション文化の近い東南アジア向けなど海外展開の準備も進めている。

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