デザイナーの杉原淳史氏が手掛けるメンズブランド「ノノット」(運営トーゴ)は、23年秋冬からスタートし、卸先を順調に増やしている。欧州仕込みの立体裁断が強みで、美しいシルエット、上質、タフな日常着を提案する。国内産地企業と組んでオリジナル生地を開発しており、自身のブランドを通して「日本の生地の魅力を海外へ発信したい」としている。
杉原氏は服飾専門学校卒業後、欧州の高級メゾンで働き、パターン設計などを学んだ。その後、日本の丸編み製造会社で自社ブランド開発にかかわり「オーベット」というユニセックスブランドも立ち上げた。ノノットでは、欧州時代に習得したレディスの立体裁断技術をメンズ服に落とし込んだ。
「素材ありきのデザイン」が特徴のブランドで、産地企業の強みを理解し、生地を作り込む。それらは全てオリジナル。基本的には上質かつタフで洗える生地を目指す。定番のシャツには、遠州で織り上げた綿太番手の高密度織物を使用した。北陸のシルク混シャンブレーを使ったコートも揃える。生き物の表皮をイメージしたシリーズもある。パイソンのうろこをイメージした尾州の綿麻ドビーや、無染色綿糸とトップ染ウール糸を用いた変形ドビー、リザードをイメージした二重ビームのウールサッカーなど。和歌山の綿強撚糸のジャカード丸編みではオストリッチの凹凸感を表現した。
卸先は、地方の個店を中心に37店。以前のブランドで取引実績のあったショップのほか、一部、大手セレクトショップもある。「基本的には広げすぎずにじっくり増やしていく。海外にも挑戦し日本の物作りを守りたい」(杉原氏)としている。