日本サステナブルシルク協会は3月4日を〝蚕糸の日〟とし、25年の同日に合わせて京都市でイベントを開く。これに向け説明会を8月6日に同市内で開き、約60人の業界関係者が参加した。国産の蚕糸が国内で流通する蚕糸全体の1%以下に縮小したとして、イベントを「業界全体で国産蚕糸の必要性を改めて考え、議論する場にしたい」(芦澤洋平代表理事)という。
養蚕・蚕糸業の発展を目的とする大日本蚕糸会によると、23年の養蚕農家戸数は146戸(00年は3280戸)、繭生産量は45トン(同1244トン)に激減している。主な要因は従事者の高齢化という。また、国内で流通している絹製品の原料として使われている生糸のうち、純国産の生糸は22年の時点で0.16%。「このままでは日本の養蚕・蚕糸業が終わる」(芦澤代表理事)との危機感が蚕糸の日の企画背景だ。
25年の蚕糸の日イベントに向け、今年3月には決起会を東京で開き約160人が参加した。参加者は絹製品のサプライチェーンを支える各工程の課題と、課題解決のアイデアを出し合い、「業界を前向きな気持ちに切り替える」きっかけ作りに努めた。8月6日の説明会には京都の呉服関係者も交えて議論を交わした。今後も活発に意見交換し、イベントの企画に生かしたい考え。イベントには消費者も招く予定だ。
同協会は「日本の蚕糸業を100年後の未来に繋(つな)げる」ことを掲げ、7月に設立した一般社団法人。アシザワ養蚕(山梨県富士川町)の芦澤代表理事のほか、運営メンバーはとよた衣の里プロジェクトの大林優子氏、スズキカクの鈴木咲絵氏。。なお、大日本蚕糸会は3月4日を蚕糸の日として記念日登録することを検討している。