ドレスとカジュアルの間の市場を狙う
16~17年秋冬ピッティ・ウオモ展は、ドレスとカジュアルの間の新しいバランスを探る動きが気になった。もちろん、コンサバティブでクラシックなテーラードを続けるブランドもあり、それもまた外せない需要がある。しかし、今の時代のテーラードスタイルのリアリティーを出すべく模索するブランドに注目したい。(小笠原拓郎)
テーラードスタイルの中心となったのはジャケットだ。しっかりとクラシックに見えるが、裏地がなく軽やかに羽織れること、温かみがあることがキーワードとなった。スーツスタイルでもセーターやスニーカーと合わせるコーディネートを押すブランドも多い。
● ザ・ジジ
ネーチャーがキーワード。フォレストグリーンやブラウン、ベージュといったアースカラーがメーンだ。ダブル6ボタンのジャケットなどブークレタッチで温かい着心地と軽量化がポイント。日本のウールコーデュロイを使ったセットアップ、フィルクーペのジオメトリックな柄、リネン・ウール・ナイロンのシャリ感のあるコートもある。
● ラルディーニ
フィッティングやカットを進化させながら、様々な素材のバリエーションで見せた。米軍のユニフォームからイメージしたミリタリーコートは、芯地のクオリティーや仕立てはラルディーニの手法を生かしたもの。スエードに英国羊毛、ニット、レディスで使うようなジャカードなどの素材を、軽い仕立てでジャケットにする。
● サルヴァトーレ・ピッコロ
70年代のサンローランのようなスタンドカラーのシャツジャケットは、トラディショナルだがとてもソフトな雰囲気だ。エレガントだけれどインフォーマル。タキシードシャツにソフトなジャケット、ボックスシルエットのジャケットも出している。