16年春夏のメンズ市場を占うピッティ・ウオモでは、ここ数シーズンの流れから大きく変化していることを感じ取ることができる。一つはエスニックの広がり。それとともにオフホワイトからベージュ、ブラウンにかけての色がブルーと対を成して広がっている。アフリカをはじめとするプリミティブな柄の表現は、クラシックなテーラードからパンツブランドまで扱うようになっている。(小笠原拓郎)
■テーラード
リネンやコットン・リネン、コットン・シルクなどのざっくりとした風合いのジャケットが増えている。ラペルがやや広くなっているのがディテールのポイントだ。
ラルディーニ
リネンやコットン・シルクのざっくりとした素材のジャケットが多い。バスケットのような織地やパイルタッチなど表面感のある素材を生かしてジャケットにする。オフホワイトからナチュラルな色をベースに、ブルー系も充実。ラペル幅がやや広くなったモデルも増えた。
ザ・ジジ
プリミティブな要素を取り入れた。アフリカのクバ族の伝統的な柄やネーティブアメリカンのラグの柄をフィルクーペ(カットジャカード)でジャケットにのせる。ネービーのジャケットも無地に見えて、わずかに柄が織り込まれている。柄に柄を合わせたコーディネートを推す。リネンで作ったエレガントなワークジャケットもある。
ベルベスト
カプセルコレクションとしてブルーレーベルをスタートした。ワイドラペルが特徴でノッチのシングルブレスト、ピークトラペルのシングルとダブルブレストを出した。70年代のビッグラペルに細身で短い着丈という仕立て。フルキャンバスでメーンラインとクオリティーは変わらず、型数と生地を絞り込むことで価格を抑えている。スーツ24万円、ジャケット17万円。一方、メーンラインは軽さにこだわった。
イザイア
ブルー、コーラル、エメラルドグリーンといった得意の色目とともに、オフホワイト~ベージュのチェックのバリエーションを揃えた。ドライタッチな風合いで、ノータイで着るスーツのコーディネートとして提案している。ピークトラペルのダブルブレストとノッチドラペルのシングルがベース。
サルトリオ
チェック柄のきれいな発色の生地を生かしたジャケットの提案がメーンとなった。リネン100%、シルク・コットンなどで、全体にワイドラペルになっている。グレンチェックにイエローやグリーンの糸をアクセントにした生地は、ワイドラペルのスーツに仕立てられる。
サルヴァトーレ・ピッコロ
ワールドワークスタイルとサファリの二つのコンセプトを柱にした。サファリはリネンチェックやプリントのシャツで。ラージフィットのポロシャツやリネンのウエスタンシャツもある。ジャケットはソフトな一枚仕立てでイエローやタバコブラウン、デニムブルーがある。日本製コットンのダブルブレストスーツもやっぱりソフトな仕立て。