渋谷ヒカリエで開催している合同展示会「プラグイン」（繊研新聞社主催）では、飽和するマーケットに新たな切り口をもって挑む出展者が、活発に商談を行っている。初日の来場者数は、過去最多の１６９０人（前年１０月展は１５７４人）。新規出展の多いウェアゾーンがにぎわっている。
■時短が求められる40代女性が鍵
物があふれる中で、消費者の「今着たい」に応える商品力とは――。会場で来場者を引き付けていたのは、用途やアイテム特化型の提案だ。マーケットの活性化の鍵となっているのは、あらゆるシーンにおいて時短生活が求められる４０代女性。仕事、子育て、冠婚葬祭、趣味など複数の立場を持たざるを得ない世代に向けて、質・センスの良さと使い勝手、機能を満たす製品が揃った。
売り場作りを含めて可能性を秘めているのは、日常から喪にも使えるリトルブラックドレスだ。その一つ、今春デビューした「ボニーク」（ＡＨ－０１）は、４０代女性のファッションデザイナーと協業する。カッティングのきれいなジャケットなどワードローブの延長で、「同世代のライフシーンに必要なディテール、機能性を反映する」堅実なもの作りに向き合う。中心価格３万円前後。
大阪を拠点にする「ヒュー」（ＡＨ－２８）は、デイ・トゥ・イブイングをテーマにするドレスブランド。セレクトショップを運営していた２人の女性が、オリジナル商品の企画をきっかけにデザイナーとしてもの作りに専念。７年近く、顧客向けに受注生産していたが、今年から卸売りもスタート。「動きやすく、洗える素材」を使いつつ、モノトーンでフリルデザインを入れ、甘すぎない大人のシルエットに仕上げる。トップ２万円台、ワンピース３万円台。
アクティブな女性のニーズに応えるのは、化粧品ウェア「ウルウト」（ＡＨ－１４、１５）。弱酸性成分のリンゴ酸が配合された、スポーツ用途のジャージーを使っており、肌につやと潤いを与える効果がある。ヨガなど運動後も「着るだけ」でスキンケアを行える便利さが強みだ。ファッション用途同様のシンプルな作りで、仕事着に重ね着しても違和感がない。長袖９５００円、ロングパンツ８６００円など。
実際に消費者と接する中で新しい形も見えてきた。１７年春夏デビューの「ア・ワンダリング・テイラー」（ＡＨ－５７）は、シックな印象でハイスペック機能を併せ持つ国産の帽子だ。野外フェスで即席に製作販売していた作り手が企画、その経験が生かされており、かぶり心地のよさはもちろん、ディテールに独自性を出す。１万２０００円～１万８０００円。
■ポップなレイングッズ充実 雨の日も気分は晴れやかに
今夏は雨や台風で販売に苦しんだ専門店が多かった。プラグインには天気の悪い日も気分を明るくしてくれる色鮮やかなレイングッズが揃っている。天候対策に素敵なレイングッズを提案するのはいかがだろうか。
「プラスリング」（ＡＨ－６７）は、「エコでおしゃれ」をコンセプトに立ち上げた、傘メーカーの自社ブランド。傘を生産する中で出た端切れをパッチワークした一点物の傘などが揃う。すべて日本製で、縫製箇所に雨漏りしないような特殊加工を施すなど手が込んでいる。１７年の新作は５０～６０種類の色柄がある。一点物は９０００円。１００～２００本単位で生産している傘（３７５０円）もある。
ファッション雑貨ブランド「ララセニョリータ」（ＳＰ－０９）が提案する晴雨兼用傘は、生地や持ち手で独自性を出している。１２、１３型ある１７年春夏の新作は、スウェーデンやインドネシアから輸入した綿生地に撥水（はっすい）・ＵＶ（紫外線）カット加工を施した傘やアクリル製の持ち手にスワロフスキー・クリスタルを散りばめたナイロン地の傘などがある。価格は１万３０００～１万８０００円。
「ジュールズ」（ＡＨ－３８、３９）は英国発のアパレル・レイングッズブランド。主力の天然ゴムブーツはメンズ・レディス・キッズ展開。シンプルな無地のほか、犬柄など可愛らしいデザインもある。中心価格は１万～２万円。アパレル、レインウェアは１７年秋冬物から日本に初進出する。レインウェアでは、ボーダーに花柄を散りばめたプリント柄のナイロンポンチョ（８９００円）やピンクのナイロン地に鳥の総柄をあしらったレインコート（１万１５００円）などがある。
