レディスを中心としたOEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)主力のSホールディングス(東京)は、レイ・カズンの「エマリンバー」譲り受けによる卸事業開始やEC・通信販売事業の拡充などで、事業領域を広げている。好調なEC事業は22年2月期売上高が前期比74%増の33億円となり、今期もさらに2ケタ増を目指す。
エマリンバーは5月に譲り受け、デザイナーとプレス担当も入社。現在、22年秋冬物に向けて企画中で、これまで通りのネット販売に加え、8月4~6日に展示会を行う予定。同社はオリジナルのDtoC(メーカー直販)ブランド「アビトーキョー」「エミプラス」を販売、今春夏物では綿麻混のロングカーディガン(2万枚販売)やノースリーブVネックワンピース(1万6000枚)など、デザイン性や品質にこだわった商品が人気で、中心価格は7000円前後で値頃。エマリンバーは「ワンランク上でテイストが違い、中間市場を見据えての取り組み」(燕泳静社長)で、ネット販売を含めて新規客獲得や市場拡大を狙う。自社での商品開発に加え、今後もM&A(企業の合併・買収)は検討していく。
昨年10月に立ち上げたファッション系ライブコマースモール「1899モール」は、投げ銭やショート動画など、新たな機能の追加などで会員数を増やす施策を強めている。プチプラのあやさんの「マオミー」やてんちむさんの「ベルリッチ」、堀江貴文さんなどがライブ配信などに登場し盛り上がりを見せているが、「まずは会員数を増やしていく」ことで、出店ブランドへのサイト価値を高めていく考えだ。
さらにライブコマースを継続的で魅力のあるものにしていくため、同社が主催するライバー育成講座を始めている。4月から東京モード学園の協力のもと、モード学園生と一般参加者を対象にマーケティング理論からライブ実演までを特別講座枠で実施。「今後、ECの主流となるライブ配信のスキルを魅力的及び効率的に身につけて欲しい」という。