「シーイン」停止要請 仏司法は慎重姿勢維持 EU8カ国は対応強化求める

2025/12/10 17:00 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】中国発EC「シーイン」を巡る規制で、フランスの司法とEU(欧州連合)双方に新たな動きが出ている。仏政府が求めた、シーインの仏向けサイトの3カ月停止に関する審理が12月5日に行われ、パリ地検は改めて「全面停止は過剰となり得る」との見解を示した。政府側の主張も変化し、違法品が販売されていたマーケットプレイス部分の停止を維持しつつ、再発防止策の実施を条件とする方向へ軟化した。裁判所の判断は19日に持ち越され、国内手続きの難しさが浮き彫りになった。

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 審理では、違法商品が外部出店者によるものである点が確認され、議論はマーケットプレイスの監視体制の強化に集中した。シーイン側は「該当商品は削除済みで、監視機能も強化した」と主張している。迅速な決定が原則の仮処分手続きで判断が先送りされたことは、サイト全体の停止命令という措置の難しさを示す。

 こうした国内の停滞を受け、8日にはフランスを含む欧州8カ国が欧州委員会に書簡を送り、シーインや「テム」など越境ECプラットフォームがもたらす「体系的リスク」への対応強化を求めた。既存のデジタルサービス法(DSA)の厳格な適用に加え、税関や消費者保護当局による監視強化、さらには低額小包への欧州統一課税の導入も提案した。フランス国内で停止措置を実現することが難しいなか、規制の重心は加盟国レベルからEU制度に移りつつある。19日の裁判所の判決が、規制の今後の進展に一定の影響を及ぼすとみられる。

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