スパイバーは12月23日、BOLD(東京)の代表取締役CEO(最高経営責任者)川名摩耶氏と、事業支援に関する契約を締結した。川名氏はソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏の長女で、「短期の売却前提ではなく、世界のバイオベンチャーを代表する企業を育てる」との意思を表明している。
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所定の条件が整い次第、26年上期をめどに川名氏から事業支援を受ける予定。代表を務めるBOLDはブランディングと投資を事業内容としており、シナジーを生かしながら、スパイバーの事業を継続するとともに、成長や価値創出を進める。
孫氏との血縁を公表したことについて川名氏は、「企業売却やIPO(新規株式上場)といった短期的なキャピタルゲインを前提とせず、世界を代表する企業に育て上げるための取り組みに集中できる立場であること、そのための意思決定を迅速に行える環境にあることを明確に伝えるため」とし、360億円の借り入れ返済が迫っていたスパイバーの経営の安定に寄与する狙いがあると見られる。
川名氏はゴールドマン・サックス証券などを経て19年にBOLDを設立、複数企業の社外役員などを兼務する。スパイバーに関心を抱いた背景として「可能性のある技術は長期的に支え育てていくべきという使命感と同時に、私自身が長年抱いてきたファッション産業のイノベーション構想との高い親和性がある」とコメントしている。
スパイバーを巡っては、米国で計画していた量産設備がコスト増などでとん挫し、24年12月期決算で280億円の特別損失を計上した。また過去の大型資金調達に対する返済期限が近づいていた。