「ターク」がクアラルンプールでショー「刺激受けた」

2017/08/28 11:00 更新


 ランウェーに登場した全身タイツのモデルたち、マレーシアのオーディエンスはこれまでに見たことのないプレゼン方法に若干の戸惑いを示したが、すぐにその魅力へと引き込まれていった。注目の若手東京デザイナー「ターク」が、クアラルンプール・ファッション・ウィークで18年春夏を発表した。

 マキシマイズされたピンストライプのスーツやベースボールシャツなど、テーラーリングを多用しながらも、リラックス感のあるコレクション。ポイントとなるのはテクスチャーだ。ウォッシュドデニムのダメージの風合いや立体的なトロピカル柄など、すべてジャカードで表現されている。胸やサイドに施された手でなでるとモチーフが変わるスパンコールは、ブランドのシグネチャーになりつつある。

 全身を覆うアイデアの元となったのは、18年春夏のキャンペーンイメージ。モデルの個性に依存する時代だからこそ、モデルの体を完全に布で覆って、個性を消し去ることを意識した。オーディエンスが服に集中できるようにとの意図もある。モデルによる固定観念を作らないことで、多くの人が自身を投影できるような演出は、多人種国家であるマレーシアにはぴったりだったのかもしれない。

 「マルチカルチャーな国に来ることで、今までにない刺激を受けることができた。慣れない地でのオーガナイズやバックステージで急に靴がなくなるなど、いくつかトラブルはあったが、チームの結束がより強いものになった」と、デザイナーの森川拓野。

 「パリで行われている『トウキョウ・ファッション・アワード』のショールームやニューヨークのセールスエージェントなど、海外に向けたセールスが拡大。勢いのある海外に投資を集中することにした」(同)。

 アメリカを中心に取扱店数が増えているが、アジアではまだ台湾に1店のみ。今回のクアラルンプールでの作品発表が、アジアでの起爆剤になるかもしれない。(ライター・益井祐)





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