タペストリー、カプリHDを85億ドルで買収

2023/08/12 14:56 更新


 【ニューヨーク=杉本佳子通信員】タペストリー・インク(ニューヨーク)が8月10日、カプリホールディングス・リミテッド(同)を85億ドルで買収することで合意したと発表した。「コーチ」「マイケルコース」「ケイトスペード」「ヴェルサーチェ」「ジミー・チュウ」「スチュアートワイツマン」の6ブランドが同一企業下に入る。両社ともそれぞれ、“アメリカ版LVMH”のようなラグジュアリーブランド集積型グローバル企業を目指していたが、資金力を集積することでどこまでパワーアップできるか注目される。買収後のタペストリーの総売上高は120億ドルを超え、営業利益は20億ドル近くになる。すでに両社の役員会の承認は得ていて、取引は24年に完了する見込みだ。

 買収発表後、カプリホールディングスの株価は急伸し、タペストリーの株価は下がった。カプリホールディングスは同日、4~6月決算も発表したが、全社売上高は12億3000万ドルと9.6%減(為替変動の影響を除くと9.3%減)、営業利益は8000万ドルと65.4%減、純利益は4500万ドルと76.1%減少した。売り上げが上がったのはジミー・チュウのみで、ヴェルサーチェの営業利益は17分の1以下に落ち込んだ。そうした中でタペストリーによる買収が決まったのだから、株価の反応は当然だろう。

 カプリホールディングスにとっては、タペストリーのメーカー直販のノウハウ、接客プラットフォーム、データ分析、近代的なテクノロジーの基盤整備を有効活用できるメリットが大きいようだ。タペストリーのスコット・ロウ最高財務責任者兼最高執行責任者は、「この買収完了後、直近の実績値の傾向がそのまま続くと仮定した場合、経費面での相乗効果は3年以内で2億ドル以上になる」とコメントし、ビジネスに今後も投資し続け、負債を早急に減らすだけのキャッシュフローがあると強調した。

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