東京ブランドの16~17年秋冬物は、従来よりも主張のあるデザインが増えている。袖や肩にボリュームを出したフォルムを中心に、各ブランドともパワフルな表現を追求しつつ、バイヤーや消費者に受け入れられるリアリティーのバランスも探っている。ノームコアのムードが無くなったわけではないが、デザイナーズの市場では、強いデザインで勝負しようという気分がますます濃くなっている。なかでも、昨年暖冬で苦戦したアウターで、新鮮な提案が目立つ。
「アンソール」(櫻井綾)は、縦に長いシルエットで迫力を出した。旬のベルベット素材を使ったはかまのようなワイドパンツは、サイドにブレード刺繍を挟み込んでポイントにする。リブニットのセーターは、ずるりと伸びた袖の先にたっぷりとラッフルを飾った。アウターは、トレンチコートもフェイクファーを付けたジレも、全てがロング丈。スタジャン風ブルゾンも、裾からライナーのキルティング地を伸ばしてロングコートに変えた。
「ニアーニッポン」(深山拓也、上島朋子)でひときわ目をひいたのは、カラーブロックの幾何学柄プリントを、ニードルパンチでカットソー地に浮き上がらせたビッグサイズのコート。他にも、フェイクファーのロングMA‐1や裏毛とレザーを切り替えたコートなど、ライトなアウターをバリエーション豊富に企画しており、6月半ばから投入を始める。他にないデザイン性とともに、長い期間販売できる点がバイヤーから好評だったという。