挑戦的なムードが継続 エレガンスを東京流ストリートに
プレコレクション(プレ)で華々しくショーをしたり、プレの商品バリエーションを一層充実させる動きがラグジュアリーやデザイナーズのマーケットで目立っている。今やプレが売り上げの6~7割を占めるというブランドが大勢だ。東京のデザイナーブランドも、かつては端境期の補足的な役割だったプレにますます力を入れており、凝ったアイテムを揃えている。
「ビューティフルピープル」(熊切秀典)は、ここ数シーズン続けているクチュールテクニックのカジュアルウェアへの落とし込みに磨きをかけ、いっそう大人っぽくなった。トレンチコートやシャツブラウスには、ヨークと袖がつながるパターンを採用。袖にボリュームが出て、ラッフルのようにエレガントに布がたわむ。
おじさん服の代表とも言えるスイングトップは、コンパクトな作りながら後ろ身頃に量感を持たせることで、襟が抜ける女性らしいシルエットに変身させた。ブランドの顔のライダーズジャケットは、メンズサイズを着たような大きなシルエットを新しく企画し、16~17年秋冬に立ち上げたノージェンダーラインの中で展開する。
エレガントな気分が強まっているが、北海道の木彫りの熊をインターシャで描いたセーターや、アルミをボンディングしたトートバッグなど、このブランドらしい遊び心も変わらず楽しい。
「タロウ・ホリウチ」(堀内太郎)は、ピカソによる壷や皿を着想源にした。従来に比べてぐっと挑戦的になった16~17年秋冬に引き続き、強いムードが漂うが、一方で着こなしに取り入れやすいアイテムもしっかり揃う。「挑戦するものと、リアリティーのあるものとのバランスをすごくよく考えた」というコレクションだ。
壷の柄をカットジャカードやプリントで表現したり、壷の丸い形をキュロットパンツやブラウスのシルエットに取り入れたり。透け感のきれいなオーガンディのドレスやパンツも、刺?で壷の柄を描いている。プリーツやドレープで見せる軽やかな布の動きもポイントだ。