東京デザイナー新世代《上》

2016/04/14 11:08 更新



《16~17年秋冬の注目ブランド》外国人観光客増加が追い風


 ここ数シーズンで、東京の新世代デザイナーブランドがぐんぐん力を付けている。まだまだ粗削りなものも多いが、「将来大きく化けるかも」と感じさせるブランドが確実に増えている。閉塞(へいそく)感が漂う今のファッション業界にとって、フレッシュな才能は貴重だ。

「ヴェットモン」の台頭によって、インディペンデントな若手を求めるムードが海外から広がりつつあるとともに、国内では、インポート重視だった大手セレクトショップが、外国人観光客向けに日本ブランドの導入に積極的になっている。こうした追い風を背に、認知度をじわじわ高めつつある注目の若手を2回に分けて紹介する。


イン 自分らしさに手応え

 韓国出身のイン・チソンが、15年春夏に東京を拠点に立ち上げた。キャンディーカラーの軽やかなアイテムを出していた16年春夏から一転、秋冬は"超現実"をテーマに、レトロ感覚とロックなムードのミックススタイルを揃える。

今春夏から有力店に少しずつ入り始めたことで自信を得て、秋冬は「自分らしさを強く出し、4シーズン目としての進化を見せた」コレクションだ。マーブルの上にバラの花を重ねた柄をプリントしたラムレザーのライダーズジャケットにクラッシュベルベットとウールをボンディングしたコートと、挑戦的なアイテムがいっぱい。秋冬は、伊勢丹新宿本店リ・スタイル、バーニーズニューヨークでも販売が決まった。

イン
「イン」ラムレザーライダーズジャケット23万8000円、ハイネックブラウス2万9000円、フリンジスカート5万9000円

 

ヨウヘイ・オオノ フェミニンを未来的に解釈

 大野陽平が15~16年秋冬に立ち上げたブランド。秋冬物の着想源は、小説『高慢と偏見』で知られる18世紀の英の女流作家、ジェーン・オースティンだ。そう聞くとクラシカルでロマンティックなムードをイメージするが、もともと工業製品的な発想を得意としている大野だけに、フェミニンを未来的な感覚で解釈していく。

ツイードにシンセティックな素材をボンディングした地でボリューム袖のクラシカルなブラウスを作り、膝下丈のストレートスカートは、レーザーカットしたポケット口に箔(はく)プリントを重ねている。動くとシャカシャカと音のする、ペーパーライクな花柄プリント地は、ラメニットと組み合わせてドレスにした。秋冬は221リステアなどで販売する。

ヨウヘイオオノ.jpg
「ヨウヘイ・オオノ」花柄プリント×ラメニットのドレス8万6000円

 

続きは繊研新聞で



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