東京をベースにするメンズブランドがこのほど、相次いで17年春夏コレクションを披露した。これまで10月のショーをしていたブランドが時期を早めたこともあり、海外での展示会と連動して7月にメンズのショーが集まるきっかけになるか、注目されている。
ワークスタイルを艶やかに変えて…ガンリュウ
「ガンリュウ」(丸龍文人)はこのほど、17年春夏コレクションをショー形式で披露した。春夏は、これまでよりも艶っぽい雰囲気で見せるストリートスタイル。リーゼントに鮮やかなメイクの80年代のニューロマンティクスを思わせるモデルが、ワークウエアをベースにしたラインで登場する。
ヘリンボーンやヒッコリーのワークジャケットのセットアップ、ワークジャケットのスーツスタイルなど、ワークアイテムを軸にしながら、それを単なるカジュアルではない表情に変える。重厚なスーツスタイルがトレンドから外れていっているだけに、このワークウエアのセットアップがリアルに感じられる。
グラデーションに色をのせたセットアップにピンクやグリーンのエキセントリックカラーの組み合わせなど、華やかな色使いが新鮮だ。カーディガンもピンクやブルー、パープルやオレンジなどの配色が可愛い。
そして、何かと何かを合体させて違うアイテムに作り直したものも面白い。例えば、ショップコートはフロントをウエストでばっさりと切ってフロックコートのように、カーディガンはポケットとフードをスウェット地で切り替えて、カーディガンパーカににする。ブルゾンには着ていない時に肩から提げられるテープのディテールが付いている。
ワークアイテムと色のコントラスト、艶やかな雰囲気を混ぜながらも、全体としてはシンプルに仕上がった。テーマは「プレイング・ライフ(生活を遊ぶ)」。(小笠原拓郎)
スーツで落ち着いたムード…ヨシオクボ
「ヨシオクボ」(久保嘉男)は、毎年10月に行っていたスケジュールを早め、秩父宮ラグビー場でショーを見せた。見せたのは、マスキュリンとフェミニン、スポーツといった要素のミックススタイル。ただし、この間続けてきたハイパーミックスに比べると、ぐっと落ち着いた印象だ。
スーツやジャケットのクリーンなスタイルでショーがスタートしたのも、そんな気分を象徴している。といってもコンサバなスーツではなく、袖をMA‐1のように膨らませたり、素材を一部切り替えたりして、ギミックを盛り込む。
ジャケットに合わせるボトムも、ドレープたっぷりのワイドパンツから、細みのサルエルデニムまで遊びがある。女性的な素材の使用も継続しており、スエットプルオーバーやベンチコートなど、スポーティーなアイテムにあえて華やかな箔(はく)ツイードを組み合わせた。
後ろ開きのディテールでもフェミニンな感覚を差す。いかついモデルが着こなすノースリーブトップやニットトップは、後ろ身頃に取り付けたジップを開けて、ちらりと背中を見せて着こなした。(五十君花実、写真=加茂ヒロユキ)