東京のデザイナーブランドで、新世代の動きが目立つようになってきた。立ち上げ5年前後を迎えた「マメ」「アカネ・ウツノミヤ」「タロウ・ホリウチ」などの一つ下に当たる世代だ。卸し先開拓はまだこれからというところがほとんどだが、有力ショップでの販売が決まったブランドもある。服そのもののデザインだけでなく、ルック撮影、カタログの作り込みなど、トータルでのブランドの見せ方をしっかり意識しているのも頼もしい。閉塞(へいそく)感が漂う今のファッション市場には、新しい世代が必要だ。今後、東京を代表するデザイナーに育っていくかもしれない。
■ヨウヘイ・オオノ 工業的デザインをクリーンに
大野陽平が15~16年秋冬に立ち上げた。工業製品に通じるようなミニマルな感覚が持ち味で、16年春夏からリステアでの取り扱いが決まった。春夏物はバウハウスからイメージを広げている。「ベルリンのバウハウス美術館に行ったら、クールで無機的なムードだけでなく、学校のような雑多な雰囲気も感じた」ことから、モダンな中にちょっとポップな要素も取り入れており、ウイットが利いて楽しい。ジャカードニットの編み柄で描くのは、大野をもじった「OH NO」というグラフィック。ライン入りのドレスやセーターに仕立てている。ベアドレスやチュニックには、美術館にたくさんあったというポスターからイメージしたコラージュ柄をプリントした。