レディスニットウェア主力の「アグリーセータークラブ」は、カラフルでアート感覚あふれるデザインが魅力のブランドだ。デザイナーのアンジェリカ・バラエバさんはロシア出身。羊毛を紡いで生活していた家族のルーツを意識し、ロシア産の昔ながらの製法による物作りにこだわっている。
(高塩夏彦)
手仕事のぬくもり
アンジェリカさんはアントワープ王立芸術アカデミーで学んだ後、ロシア国内のニットブランドでキャリアをスタートした。働く中で、より自身の感性を反映した商品を企画したい思いが生まれ、独立を決心した。「商業的な物作りは自分に合わなかった。もっと個性の強いニットを作りたかった」(アンジェリカさん)と降り返る。
オリジナルのニットウェアを作り始めたのは19年。当時は数型のみで、大きな事業にする気はなかった。しかし、段々と商品の幅が広がり、ブランドとして本格的に動き始めた。
物作りの根幹は家族のルーツだ。「かつて私の一族はカスピ海近くの山岳地帯で羊毛を紡いで、自分たちの着るセーターや小物を作っていた。その歴史に着想を得ている」

大量生産よりも古い機械による製造や手編みにこだわっている。生産は全てロシア国内の職人が内職で手掛けており、手仕事のぬくもりがある。ブランド名に入れた〝アグリー〟も、面構えが整いすぎていない愛らしさを表現した言葉だ。
一方でデザインは現代的。モヘヤ、アルパカ、上質なウールなどが原料のイタリア製の糸を採用し、複雑で個性的な色合わせで編み上げる。長めの袖丈をクシュッとゆるませたり、透け感のある編み地からインナーを見せたりと、幅広い着こなしを楽しめる商品が多い。

糸をアクセントにも
26~27年秋冬は祖父の古い写真に写っていたニットの帽子などをヒントに企画した。モコモコとした素材のトグルボタン付きカーディガンは、あえて未処理で垂れ下がらせたピンクの糸がアクセント。裏地を表にして抜け感を出したセーターや、ざっくりとしたニットポロシャツはユニセックスでも着られる。
小物は複数の柄を組み合わせた手編みのマフラーや、子供のために手作りされたような温かみのあるミトンなどが揃う。

中心価格はセーターで約3万~4万円、カーディガンで約5万円。日本での販路は卸が中心で、既に一部セレクトショップなどで実績がある。今後は地方の個店などにも拡販したい考えだ。
友人のアーティストなどと組んで内装からこだわった、期間限定店も視野に入れる。将来的には日本を含む越境ECも検討している。
