《視点》プロパー軽視

2019/01/23 06:23 更新


 今年の賀詞交換会でオンワードホールディングス(HD)の「ゾゾタウン」退店が話題になった。小売価格の値引きとなれば、百貨店と取引のあるアパレルの多くも否定的。オンワードHDの自社EC比率の高さを評価し「本来はそうあるべき」という声も聞かれた。

 こうした声を聞くと、プロパー(建値)の価格設定や消化率に対する考え方が業界によっても変わりつつあることを実感する。ECだけでなく、商業施設では、タイムセールのようにプロパー価格が消失したかのようにも見える。

 最近では、経営指標としてのプロパー消化率〝不要論〟まで語られる。しかし、本当にそうだろうか。最初から大幅な値下げを前提に小売価格を設定すれば、価格が価値を表すものではなくなる。「いずれ大幅に値下げされる」ことが確実なら、よほど必要に迫られない限りは購入しない。

 問題は、こうした価格や消化率に対する考え方が経営の在り方を反映していることだ。コスト削減を求め、価値ある商品作りや売り切る努力を軽視する。その結果が10億点を超える「売れ残り=在庫」となっていることを忘れてはならない。

(矢)



この記事に関連する記事