《視点》なぜオンとオフ

2019/01/30 06:21 更新


 最近のレディスブランドのリブランディングや新業態開発の事例で、「オンにもオフにも着回せる」というキーワードを頻繁に聞く。通勤ファッションのカジュアル化は今に始まったことではないし、「なぜまた注目されているのだろう」と不思議に思った。

 短期的なトレンドで見れば、ストリート系のカジュアルファッションが人気となり、18年はエレガンス系のフェミニンブランドは一部を除いて軒並み苦戦した。テイストやシルエット的に、カジュアルアイテムと合わせづらいのかもしれない。ワンテイストのブランドだと客層が狭まるし、「一通りの着方しか提案できない服は売れない」とも聞く。今の消費者のニーズに応えた結果、やっぱりオン・オフ兼用が大事だと各社が考えたのだろうか。

 ただ、どの店もテイストのミックス感を打ち出し始めると、レースのタイトスカートにゆるいスウェットシャツなど、品揃えが同質化する恐れもある。だからこそ今後はいっそう、根底にあるブランドらしさやスタイリングの工夫が強みになるような気がする。

(石)



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