販売店のノウハウを生かし、購買だけでない顧客体験を意識したバーチャルショップ開発企業がある。原宿でセレクトショップを運営するGOSOUTH(ゴーサウス)が22年7月に設立したVircre(バークリ、東京、市川大輔社長、堀木遼CEO=最高経営責任者)だ。
3D・CGでオンラインショップを構築する。音声と文字チャットで接客でき、店内に掲載した商品写真からECサイトに遷移する。ゴスロリ系やアーティスト発信など個性派ブランドを中心に採用されている。
開発のきっかけは、ゴーサウス代表でもある市川大輔社長が20年にコロナ禍で店を休業せざるをえなかったことだ。代替の販路としてオンラインを活用するにあたり、「ニッチなブランドを扱っているので、物作りを説明するコミュニケーションが必要だが、単なるECサイトではできない」と、プログラミングを独学しサービスを立ち上げた。「既存のアパレル事業と並行して、バーチャルリアリティーの可能性を持って、ファッション業界に微力ながら貢献できれば」とする。
アバターが速く移動したりジャンプしたりと動作の自由度の高さが特徴だ。「リアルのショッピングは、原宿のように町自体を楽しむことも一つの目的」という店舗運営の経験則から、バーチャルの町も作り、キャラクターが話したり建物に隠し要素を加えたりなど、客1人でもリアクションを得られるようなしかけを組み込む。
アプリ不要で、ブラウザーでアクセスできる。約10種のテンプレートから選んで初期費用を抑え短期間で制作できるベーシックプラン(60万円)と、スクラッチ開発するカスタムプラン(150万円から)がある。バーチャルの町での広告掲示も可能。今後、アバターやモデル、ボタン配置などもカスタマイズ性を高める。