コロナが広がって以来、見本市はすべてオンライン開催が続いている。そうした中、日本人クリエーターのサポートを目的としているソーホーのギャラリー「ナウヒア」で、展示即売会「DECO BOKO MARKET」が始まった。期間は30日までの2週間。一般の消費者を相手にしている点で見本市と異なるが、消費者の反応を直接知り、売り上げにも繋がる。オンライン開催で市場の反応がわかりにくくもどかしい思いをしてきたブランドにとっては、ポジティブな選択肢ではないだろうか。リアルでこうした情景は久しぶりで、訪れる方にとっても新鮮に感じる。
DECO BOKOはNYナウなど雑貨の見本市で日本から出展するブランドのサポートをしてきたニューヨーク在住のレイエス真梨子さんが、昨年9月に立ち上げたBtoBのマーケットプレイスだ。アメリカにいるバイヤーと日本の商品を繋げることに特化している。ウェブサイトとインスタグラムの他、ユーチューブのDECO BOKO Speaksでは、英語でブランドや商品、ものづくりを紹介している。扱いブランドは20以上に及ぶ。オンライン以外で商品を見せるのは、今回初めて。ポップアップをしたいと思っていたレイエスさんと、元々アートギャラリーとカフェとミュージアムショップをしたいと考えていたナウヒアの思惑が一致して、今回のポップアップに繋がった。
会場手前は、DECO BOKOのウェブサイトで扱っている日本のブランドを集結した。レイエスさんによると、ウェブサイトでバイヤーに見せてきて特に人気が高いのはfrom Rush(熊本県)の畳マットだ。ディスプレイに使ったり、ヨガマットとして使ったりするなど、アメリカ人は日本人とは異なる感覚で畳マットを使う。もっと小さいサイズのをつくってくれればドアマットとして使いたいと言われたこともあるそうだ。柄のバリエーションがあるのも楽しい。イサムノグチ美術館からも買い付けられた。
経年変化するPICUS(東京)の真鍮の名刺入れやトレイ、静岡のバネ工場がつくるSPRING SPRINGの花瓶やキーホルダーも人気があるそうだ。いかにも和という見た目ではなく、シンプルでミニマルな方が、アメリカの生活様式に入っていきやすいだろう。美濃焼のティーポットとカップ、暖かそうなソックスや手袋なども、シンプルで抑えた色合いだ。お茶も売っていて、ナウヒアの奥にあるカフェ(期間中金土日限定)で、同じお茶を使った抹茶ラテやほうじ茶ラテなどを飲むこともできる。実際に味を試せるのは、楽しいアイデアだ。
会場中央は、ニューヨークに拠点をもつ日本のブランドとニューヨークベースの日本人デザイナーのブランドを置いている。中央は、ノリータに直営店をもつスノーピーク。スノーピークから派遣されてきていたスタッフによると、昨夏はキャンプへの興味が高まり、忙しかったという。確かに、コロナで行動が制限された上、ニューヨーク市は治安が悪くなり、郊外の自然の中に逃避したいと考えた人が多かった。私自身、昨秋は毎週末のようにハイキングに出かけた。週に1回くらいは、治安を気にしないでマスクをしないで歩き回れて自然を感じる必要があると思ったからである。だから、キャンプ熱が上がったという事象も非常に理解できる。
スノーピークの売れ筋は、ミニ焚き火セット。グリルとベースなどのセットで小売価格320ドル。庭やルーフトップをもつ人たちに好評だった。小さいサイズ感が可愛い。アウトドア仕様の小さなカップや調理道具も売れているという。
NY拠点のブランドは他に、タキヒョーがプロデュースしているPAPER PROJECTのソックス、NYベースのPEABOY PEABOYのタイダイのTシャツなどもある。ナウヒアは2月も、NYベースの日本人デザイナーの新作展を予定している。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)