ビジネスを順調に拡大している実力派ブランドが、今季も安定感のあるショーを見せた。実際に着てみたいと感じるアイテムが揃っているが、一方でどこか想定通りのムードも漂っており、ショーの見せ方を含めて新しい切り口が欲しい。(五十君花実)
輝きで見せる陰影エレガンス/サポートサーフェス
サポートサーフェス(研壁宣男)は、素材や装飾で様々な輝きを取り入れた陰影のエレガンス。カットのテクニックを生かしたドレープブラウスやドレスを、ベルベットやピーチスキンのような微光沢素材で仕立てる。ボルドー、カーキグリーンといった深い色合いがしっとりと重厚だ。
レザータッチの生地やシアリング、ラメジャカード、スパンコールも、ツヤや輝きの表現として使われる。一方で、イエローやパープルのダブルフェイス素材のコートは、クリーンで軽やかなムードにつながる。
ネーティブアメリカンをミックス/ヨシオクボ
ヨシオクボ(久保嘉男)は、ネーティブアメリカンや南アジアのエスニックと、ミリタリー、テーラード、スポーツなどをミックスする。古いラグとキルティングナイロンをドッキングしたようなコートに、ツイードで羽根のネックレスを描いたプルオーバー。羽根のモチーフは、スーツの胸元やブルゾンにシルバー細工の飾りとしても使われる。
「キャッチコピーから服のデザインを考える」という久保だが、ブルゾンやナイロンコートのバックにプリントされていたのは「ブラックスミス」(鍛冶(かじ)屋)という文字。確かに羽根のモチーフだけでなく、インディアンジュエリー風のメタルバングルを付けたルックも多い。ウィットに富んだ表現が久保らしい。
(写真=加茂ヒロユキ、ヨシオクボは大原広和)