アダストリアは、インフルエンサーや若手デザイナーのブランドを支援するプロジェクトを進めている。同社の生産背景を使い、自社ECで販売する。若年層に影響力のあるクリエイターと組むことで、新規客を開拓する。
(高塩夏彦)
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プロジェクトリーダーの村岡秀紀さんが、コロナ禍以降に若手クリエイターのDtoC(消費者直販)ブランドが増えたことに注目し、「リードプロジェクト」と名付けて開始した。「彼らの影響力と自社の商品作りのノウハウを合わせれば、お互いにメリットが出せると考えた」。第1弾はデザイナーの松井勇樹さんが手掛ける「ブレイモア」と、インスタグラムでフォロワー約9万人のタカミツさんと約7万人のキュージーさんが新たに立ち上げた2ブランドだ。「自身の作りたいものが明確な人を選んだ」(村岡さん)。
クリエイターがアイデアやデザイン案を出し、アダストリアのマーチャンダイザーや生産管理と話しながら、各ブランドがそれぞれ6~14型を商品化した。アダストリアが在庫のリスクを持ち、売り上げに応じてクリエイターにインセンティブ(報奨)が入る。
会員1700万人以上の自社EC「ドットエスティ」で販売し、幅広い客層にアプローチする。インフルエンサーのブランドは、自身のフォロワーへ直接PRできるのも強みだ。
6月12日に販売を始めたが、既に完売した商品もある。ドットエスティでの買い物が初めての客も多く、新規の獲得につながった。
プロジェクトの契約は1年間だが、更新可能。ブランドの追加は急がず、まずは今あるブランドを軌道に乗せる考え。今後は期間限定店など、客とクリエイターがリアルで触れ合えるイベントなども検討する。