青山ファッションカレッジ(東京、江口崇裕校長)は、ファッション業界と社会全体のビジネス環境の変化を背景に来年4月、新たにファッションテック科を開講する。ファッションの基本的な知識と、ウェブの制作や運用に必要な技能を同時に習得できる1年制の学科。DX(デジタルトランスフォーメーション)時代に向け、新たに必要とされているデジタルネイティブな即戦力となるファッション人材の育成を目指す。
今回は社会的なデジタル化推進の動きに加え、新型コロナウイルスまん延に伴い、アパレル企業のビジネスのあり方が大きく変化していることに対応。「アパレル関連の小売業ではEC比率が高まり、実店舗での対面販売技術のほか、ECサイトにも精通した人材の育成が急務となっている」と判断し、久々の学科の新設を決めた。
ファッションテック科では、ファッションの基礎と、IT関連の専門技術やノウハウを両軸で学べるのが特徴。3D・CAD(コンピューターによる設計)など物作りの技術ではなく、ECサイトなど販売に関するIT教育を実施する。具体的には、ファッションECサイトの制作と運営に必要な素材や色、コーディネートの基本知識に加え、ウェブの制作・運営、撮影や照明の実習、画像編集、PRの手法まで、幅広く実践的に学べる内容となっている。各分野で活躍するプロが教員を務め、ノートパソコンを使って授業を行う。
同科の履修で目指せる職種は、ファッション業界のEC関連業務や、O2O(ネットと実店舗の相互送客)業務など。個人でECサイトを立ち上げ、EC店舗の運営を行うことも可能で、新しい時代の職種に対応できる人材を育成する。ファッション販売能力検定、ファッション色彩能力検定、国家資格のITパスポートの取得も目指せる。
1年制の学科のため、学内のファッションクリエーター科やビジネス科、スタイリストコーディネート科など既存学科への編入、反対に既存学科からの編入による専門能力の向上も可能。アパレルなど社会人経験者、大学や短大、他分野も含む専門学校卒業後の入学者の増加も見込まれ、今の時代と業界の求めに対応した即戦力となる人材の育成に力を入れる計画だ。